モーションキャプチャと技術と身体動作処理2007-12-22

「じんもんこん2007」の方は、ちょっとお休みにして、立命館GCOEプログラムのひとつとしておこなわれた、「国際シンポジウム:モーションキャプチャ技術と身体動作処理」(2007-12-21)に行ってきての感想を少し。

http://www.img.is.ritsumei.ac.jp/meetings/mocap_symp/2007.html

個々の発表については、時間をみつけて後ほど考えることとして、総合的な印象としては・・・非常に面白かった。

自分の専門の領域のことなら、論文だけを読んでも、だいたいのことは分かる。

しかし、専門外のことになると、直接、口頭発表を聞いた方が、わかりやすい。単に、ことばだけではない、その研究者の研究姿勢や基本的なものの考え方が、よくわかる。あるいは、質疑応答では、その分野全体での、位置づけのようなものが見える。

余談ながら、自分の専門外(近接領域)の話しを積極的に聞いてみよう、というタイプと、自分の専門の範囲の学会・研究会に出ていればいいというタイプと、さらには、それさえも嫌い、というタイプに、わけられる。ことの善し悪しでははく、人間(研究者)のタイプの問題として・・・ある。

そして、「じんもんこん」やDHにかかわるような人は、どちらかといえば、はじめのタイプの人が多いように思われる。少なくともそこに積極的に参加して、発言して、何かを得ようとしている人は。

ところで、立命館のGCOEモーションキャプチャの方に話しをもどすと、流れが変わってきたかな・・・と感じる。昔のモーションキャプチャの研究は、いかに正確に、人間の動作を記録するか(コンピュータにデータとしてとりこむか)ということが中心であった。新しい技術の草創期というのは、どうしても、まず、こういう方向からスタートする。

それが、最近では、伝統芸能・民族舞踊などのデジタル・アーカイブとしての利用、さらには、身体動作で、人間は何を表現しようとしているのか、あるいは、ある身体動作から人間はどのような情報(特に感覚的な情報)を得ているのか・・・という方向に展開しようとしている。

広義には、非言語コミュニケーションとしての身体動作ということになる。ある意味、私の、専門領域である、日本語研究(文字・表記)とも、関連するところがある。例えば、同じ文字で書いても、書体や字体、あるいは、書く時の道具や、文字の色によって、何か付加的な情報を、伝えているはずである。

このような、個人的な研究テーマの視点から見ても、モーションキャプチャ研究というのは、今後、注目していきたい分野のひとつである。

そしてまた、このような方向でのモーションキャプチャ研究は、まさに、これからの「じんもんこん」「DH」の方向性を、端的に示すものであろう。