シンポジウム「あつめる」から「ひらく」へ ― 2008-02-22
2008/02/22 當山日出夫
急に、昨日になって、連絡のメールをもらった。開催は、今日から。もうまにあわないかもしれないけれども、このようなシンポジウムが開催されたということの記録が、このようなブログ記事として残ることにも、なにがし意味があるであろうと思って掲載する。
オリジナルは、
http://ucrc.lit.osaka-cu.ac.jp/movie/Sympo2008/
以下、テキストを抽出して、かたちを整えて掲載します。
當山日出夫(とうやまひでお)
シンポジウム 「あつめる」から「ひらく」へ-ポピュラー文化資料のアーカイブズをめぐって-
場所 京都造形芸術大学 人間館 B1F・映像ホール
日時 2008年2月22日(金) 13:00~19:30
23日(土) 10:00~18:00
映画・テレビ・マンガ・インターネット。私たちの日常にあふれるこれらの様式は、一般的に「ポピュラー文化」「メディア文化」「情報文化」などの用語で理解されてきた。その性質は「消費」「流通」というキーワードが示すとおり「流れ去る」ものであり、社会における重要な共有経験・記憶を形作りながらも、体系的・網羅的に蓄積されては来なかった。近年飛躍的に進められた各種アーカイブ化の試みによって、従来のビジュアル・イメージをめぐる研究は劇的に変容しつつある。このシンポジウムでは、これらの最前線の変容をとらえ、さまざまなビジュアル・イメージ・アーカイブが、研究・教育・社会認識の各領域に及ぼしつつある大きなうねりを総合的にとらえようと企画されている。
メイン・セッション(23日)では、さまざまなアーカイブ構築に携わる専門家を招き、焦点の定まった議論を深める。セッション1では、「収集する/保存する」行為とは何なのか、アーカイブ化の営みそのものに焦点を当てる。セッション2では、「分類・整理」され「展示」されることによって加えられる新たな意味について議論を展開する。セッション3では、「社会への還元」に関心を移し、開かれたアーカイブズ、その成果を還元すべき相手とは誰かについて、研究活動に限定することなくより広い社会的脈絡から考えていく。関連して、22日のプレ・セッションでは、さまざまな学問分野、人類学、社会学、言語学、地域研究、動物行動学などにおける映像実践について、制作者自らが上映を交えて議論する。映像資料や素材を研究に用いることは、それらを研究に活かすというだけではなく、ミクロなアーカイブ化の営みそのものであり、アーカイブ構築や映像の研究利用の意義について、メイン・セッションとは異なる視角から考えていこうとするものである。
Pre-Session 「とる、つかう、つくる」
撮影から作品化まで
2月22日(金)13:00~19:30
上映・発表:
島田将喜 [日本学術振興会]
相馬貴代 [京都大学]
内藤真帆 [京都大学]
古川優貴 [一橋大学]
岩谷洋史 [神戸学院大学]
新井一寛 [大阪市立大学]
笹谷遼平 [同志社大学]
Renato Rivera[京都大学]
川瀬慈 [日本学術振興会]
須藤義人 [沖縄大学]
コメント:
木村大治[京都大学]
八角聡仁[京都造形芸術大学]
司会:分藤大翼 [京都大学]
セッションコーディネーター:
新井一寛[大阪市立大学]
Session1
「あつめる」
収集と保存:選択の権力作用
2月23日(土)10:00~12:00
鈴木豊 [放送番組センター]
「放送番組アーカイブズの 公共的活用に向けて 放送ライブラリーの現状と課題」
山内隆治 [日本映画新社]
「記録映画アーカイブ化の実際」
表智之[京都国際マンガミュージアム]
「マンガの“公的”収集は可能か」
セッションコーディネーター:
梁仁實 [大阪市立大学]
Session2
「ならべかえる」
編集と再構成:展示の力学
2月23日(土)13:00~15:00
山田奨治 [国際日本文化研究センター]
「複製物で広がったヴィジュアル・イメージを探る」
板倉史明 [東京国立近代美術館]
「映画復元における倫理と創造性」
宮本大人 [北九州市立大学]
「マンガにとってミュージアムはどんな場でありうるか」
セッションコーディネーター:
山中千恵 [仁愛大学]
Session3
「ひらく」
公開と上映:アーカイブズの公共性
2月23日(土)15:30~17:30
松本篤 [remo]
「パーソナルな知からパブリックな知へアナログな知からデジタルな知へ -AHA! の実践」
内田順子 [国立歴史民俗博物館]
「映像を解釈する権利とアーカイブズ アイヌ民族との共同研究の事例から」
長井暁 [NHK放送文化研究所]
「アーカイブズの研究・教育利用をどう進めるか 世界のアーカイブズの実情から」
セッションコーディネーター:
丹羽美之[法政大学]
2月23日(土)17:30~
総合討論: 伊藤公雄[京都大学]、石田佐恵子[大阪市立大学] ほか
エスノグラフィック映像コレクション ― 2008-02-22
2008/02/22 當山日出夫
先に掲載した、シンポジウム「あつめる」から「ひらく」へ、場所は、京都造形芸術大学である。気になったので、URLをたどると、
エスノグラフィック映像コレクション
にいきつく。さらにさかのぼると、UCRC(大阪市立大学都市文化研究センター)にまで、いきつく。
http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/UCRC/
そこにある「データベース」を、見ると、大阪都市文庫/アジア都市文庫/文献目録/グローバルベース、とある。「エスノグラフィック映像コレクション」は、その「大阪都市文庫」と「アジア都市文庫」の中にあることがわかる。
これは、大阪や東アジア(中国)の古地図類の、デジタル・アーカイブであることがわかる。また、近代になってからの大阪の都市しての形成の跡をたどることが可能である。そのような各種の資料のアーカイブになっている。
ここで思い出すのが、昨年の「じんもんこん2007」、今年になってからの「CH77」研究会であった、日本大学の「喜多村緑郎文庫」の「喜多村緑郎日記&Maps」である。
http://133.43.160.36/Kitamura/Public/public.html
これまで、ARGでかなり言われてきたように、相互リンクは必須というわけではないが、もし、あれば、それは、利用者にとって、非常な便宜となる。あるいは、そろぞれをリンクした、サイトがあればいい。
都市の形成となると、立命館GCOEのバーチャル京都のプロジェクト。しかし、ここを見ても、京都のことは出てきても、大阪のことは出てこない。
http://www.geo.lt.ritsumei.ac.jp/webgis/ritscoe.html
京都であれ、大阪であれ、東京であれ……特に近代になってからの都市の形成過程は、GISやCG・VRなどで、アプローチできる分野である。また、その前提として、各種の地図や写真のアーカイブがある。さらに、サブカルチャー研究もふくむ。
都市研究というのは、きわめて学際的な分野である。このようなことに関連した、総合的なサイトがどこかにないものかと思う。
當山日出夫(とうやまひでお)
望月三起也『最前線』 ― 2008-02-22
2008/02/22 當山日出夫
急にマンガの話しになる。まあ、普通は、親が子供に漫画の本を買ってきて読ませるということはないであろう。少なくとも、私の子供の時代は、漫画は、「読んではいけない本」であった。だが、それが、今では、アカデミックな研究対象になっていることは、周知の事実。先に記した、京都造形芸大でのシンポジウムなど、そうである。
今日、読んだ本を、まず、記す。
林壮一.『アメリカ下層教育現場』(光文社新書).光文社.2008
この本については、すでに、いろんな書評などで、とりあげられているようなので、触れない。読んでいた途中、ふと次の箇所に目がとまった。
本来ならば、この日は、『442歩兵連隊』と呼ばれる日系アメリカ人部隊の話まで進めたかった。(p.123)
私の年代であれば、ここから連想するのが、望月三起也、である。今、手元にあるのは、
『二世部隊物語』(1~7).集英社.2001
の文庫本である。この作品、第二次大戦(この場合は、太平洋戦争よりもこの名称がいいだろう、主に、ヨーロッパの戦場が舞台なので)において、戦った日系人兵士を描いている。彼らは何のために戦ったのか……自らが「アメリカ人」であることの証のため、である。
たまたま、としか言いようがない。私の年代が、小さいとき、漫画を読んだなかで、この一連の作品があった。いろんな雑誌に異なったタイトルで掲載されていたのだが、最も記憶に鮮明に残っているのが、『最前線』。
今の子供は、ほうっておいてもマンガは読むであろう。特に、親が買ってやることもない。だが、ほうっておいたら読まないであろう、しかし、読ませておきたい漫画というものがある。そのひとつが、望月三起也のこの作品。
マイノリティ(日系人)であるがゆえに、最も危険な任務に自らたずさわった「日本人」がいたことを。そして、それは、まさに、日本がアメリカと戦っていた、その大きな歴史的な戦争の一部でもあったことを、忘れてはならない。少なくとも、私は、そう思う。
文庫本の解説を読むと、出典不明、の作品があるよし。これには、やはりおどろく。たった40年ほどまえの漫画の「出典が不明」、であるとは……いったい、どうなっているのだろう。
今後のこの分野の研究者の仕事に期待したい。
ちなみに、同じ意味で、子供に読ませておきたいと思って買ったのが、『紫電改のタカ』(ちばてつや)。この作品、実在の人物が登場する。源田実、など。そして、真珠湾攻撃のとき、源田実と同く、空母赤城(だったと思うが)にいたのが、淵田美津雄。戦後、源田実は、国会議員になり、淵田美津雄は、キリスト教の伝道にたづさわった。『真珠湾攻撃総隊長の回想』は、まだ買ったばかりで読んでいない。追って感想を書くつもり。話しがそれてしまった。
當山日出夫(とうやまひでお)
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