『思想地図』:ボーカロイドからボイスロイドへ ― 2008-05-03
2008/05/03 當山日出夫
『思想地図』の増田論文についての続きである。
http://d.hatena.ne.jp/smasuda/20080424
初音ミクは、ボーカロイド(VOCALOID)として、世にでたものである。それが、ボイスロイド(VOICELOID)に変わっている。
「ボーカロイド」であれば、音楽の素材としての音源を提供するものとしてのニュアンスをふくむ。しかし、これが、「ボイスロイド」になると、単なる音源素材であることをやめて、人間の声となり、キャラクター化している、と言えるであろう。
音楽における人間の声のセクションが、ボーカル(VOCAL)である。それが、ボイス(VOICE)なるということは、単なる「声」になる(音楽でなくてもよい)、ということへの変容を意味している。
個人的なことであるが、我が家の子供(中学生と大学生、女の子)に、初音ミクのことを話題に出してみたら、即座に、ボイスロイド、と言った。で、グーグルで検索をかけると、さほど上位にではないが、ボイスロイドで、初音ミクにたどりつく。
それはさておき、「デジタルアーカイブ論」の授業、そろそろ、来週ぐらいから、本格的に、デジタルのアーカイブについて、話しをすすめることになる。これまでは、そもそも「アーカイブ」とは、どういう用語であるのか、という、アーキビストの立場からの解説。次からは、そうではない、アーカイブ。映像学部であるから、創作の素材提供としての、各種画像データや、モーションキャプチャのデータについて、語ることになる。
学部のカリキュラムとしては、画像・映像を中心としたものとなっている。だが、考えてみれば、音声もまた、創作活動のための素材の一つである。「デジタルアーカイブ論」で、初音ミクについて語るというのは、学部の方針には反することになるだろから、やめておくつもり。
ポピュラーカルチャーについて教えるのは難しい。たいていの場合、教える教師よりも、学生の方が、「知識」としてはよく知っている、ということがある。教師は、それに対して、「方法論」で立ち向かうことになる。これこそ、「知」の勝負である。
當山日出夫(とうやまひでお)
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