日本アーカイブズ学会とデジタルアーカイブ ― 2008-05-09
2008/05/09 當山日出夫
学習院大学での日本アーカイブズ学会、明星さんの発表について触れる前に、確認しておきたいことがある。これは、あくまでも私の個人的感想かもしれないが、「デジタル」ということに、日本アーカイブズ学会は、さほど積極的ではないという印象をうける。
例えば、現在の日本におけるアーカイブの中核的人物である人の書いた本として、「デジタル」に言及したものとしては、
小川千代子.『電子記録のアーカイビング』.日外アソシエーツ.2003
青山英幸.『電子環境におけるアーカイブズとレコード』.岩田書院.2005
これらの本をざっと見ても、積極的にアーカイブにデジタル技術を利用しようという方向性は感じられない。むしろ、逆に、デジタル機器が社会に普及することによって、アーカイブが難しくなっていることの指摘が、中心になっている。青山さんの本は、タイトルからうける印象ほどには、デジタルの問題に深入りしていない。むしろ、アーカイブズ概論的な内容である。
日本アーカイブズ学会の2008年度の研究発表資料を見た限りであるが、「デジタルアーカイブ」の語を積極的に使っているのが、研谷紀夫さん(東京大学情報学環)、それに、国立公文書館のアジア歴史資料センターの人たち(相原佳之さんら、7名の共同発表)。
東大の情報学環、それに、国立公文書館アジア歴史資料センター、は、そのその性格から考えて、「デジタルアーカイブ」に、積極的であることは、容易に理解できる。
その一方で、清水恵枝さん「地方自治体の公文書館と文書管理システム」の論文のアブストラクトには、こう記してある。
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また、電子文書システムの急速な普及は、証拠的記録を恒久的に保存し、利用に供するという公文書館の使命をおびやかし、行政文書の信頼性をどのように保証するかという対策が必要となってきている。
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どうも、現在のアーカイブにかかわる人たちの発想としては、デジタルについて、否定的な見解が多数をしめているようだ。このなかで、明星さんのカフカについての発表は、これまでのCH研究会などでの発表をふまえて、デジタルの世界での文学研究者のあり方を考えるものであった。
なお、日本アーカイブズ学会にかんするブログ記事としては、次のものが見つかった。
pensie_log
http://blogs.dion.ne.jp/pensiero/
http://blogs.dion.ne.jp/pensiero/tb.cgi/6994586
ここで指摘してある
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文字的・視聴覚的なアーカイヴ全般に関する資格とは、どういう類のものになるんだろう。
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これは、まさに、明星さんの、デジタル環境でのカフカ研究における事例発表につながる。
當山日出夫(とうやまひでお)
ハンセン病市民学会とアーカイブ ― 2008-05-09
2008/05/09 當山日出夫
自分でブログで書いていると、(このような人はどれほどいるかしらないが)、グーグルの検索(特に、ブログ検索)で、どう出るか試してみたくなる。
そこで、以下のブログを見付けた。
ハンセン病市民学会
そのブログで、「日本アーカイブズ学会」の名前がある。5月11日の記事。
http://shimingakkai.blog16.fc2.com/
http://shimingakkai.blog16.fc2.com/tb.php/373-ce3b3877
確かに「アーカイブ」という語、そして、「デジタルアーカイブ」の語は、様々な問題提起につながると、あらためて感じた。
デジタルの時代になって、「記録」「資料」「文書」は、残しやすくなったのだろうか、それととも、残しにくくなったのだろうか、このあたりから、個別の問題として考えていかなければと思う。
當山日出夫(とうやまひでお)
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