『ARG』322号2008-05-12

2008/05/12 當山日出夫

例によって、インターネットにつながらない状況で書いている。朝、ARGの322号を受信して、それをすぐに、USBメモリに保存。で、今は、それを見ながら、という状態。(これは、個人的な利用の範囲であるから、違法なコピーではない、はず。)

ここしばらく「デジタルアーカイブ」について書いてきていると、ARGを見ても、この関係に目がいく。特に、今回の号では、

◆自由民主党、「デジタル・アーカイブの推進に向けた申入れ-「デジタル文明立国」に向けて」を発表

に注目せざるをえない。

さっそく野田聖子議員のHPを見る。(これは、我が家で確認)

http://www.noda-seiko.gr.jp/

http://www.noda-seiko.gr.jp/column/?catid=15&itemid=193

>>>>>

1. 電子公文書に対応した公文書管理制度の創設

2. デジタル時代に対応した国立国会図書館の機能の強化

 ・国立国会図書館のウェブアーカイブの本格実施のための法制度の実現

 ・全国図書館のデジタル・アーカイブの統合化

3. 国立公文書館と国立国会図書館の連携強化

4. 国家戦略としての取り組み強化

 ・「デジタル情報資源戦略」の策定

 ・デジタル・アーカイブに係る要員、予算の充実

 ・「国立デジタル・アーカイブ」構想の一層の推進

 ・世界最先端のデジタル・アーカイブ技術への対応

<<<<<

これを実現するとなると、著作権どころではなく、各方面に大きな影響を与えるのは必至である。ようやく、日本アーカイブズ学会において、「アーキビスト」の公的資格(大学院修士課程)の提言に向けて動きだそうというときである。

私の見るところでは、(このブログでもすでに何度か書いてきたが)、日本アーカイブズ学会は、基本的に、紙の資料をベースに、ものを考えている。だが、これに対して、自民党・野田議員の方向は、完全に、デジタル、である。

今のところ、「デジタルアーカイブ」ほど、各方面で使用され、かつ、混乱を招いている言葉はないといってもよいかもしれない。このなかで、きちんとした、議論をつみかさねていくには、よほどの人材・人脈と、議論をまとめる力量が必要となる。

「デジタル文明立国」という……福澤諭吉は、かつて、こう言ったはずである、「立国は私なり、公にあらざるなり……」、と。単なる国家規模プロジェクトの問題ではなく、デジタル社会における、国家と個人の関係が問われる、私は、そう認識している。

そうなれば、インターネット社会における匿名性の議論へと発展する。『アウト・オブ・コントロール』、時間があったら読もうと、バッグにはいれてきてある。

當山日出夫(とうやまひでお)