アカデミックライティングの課題図書 ― 2008-05-30
2008/05/30 當山日出夫
文学部のアカデミックライティングの授業。年度が始まってから、いろいろあって、結果的には、次週(6月7日)に、授業の履修学生は、文章能力検定準2級を、団体受験、という方向になってしまった。したがって、その「受験対策特別授業」をやらないといけないことになっている。
文書能力検定は、悪い検定試験ではない。だが、現在、要求される、「論文」という特殊な文書作成のためには、少し、考え方が違うところがある。
テキストにした『論文の教室』(戸田山和久、NHKブックス)と、読み比べるとよくわかる。文章能力検定は、『理科系の作文技術』(木下是雄、中公新書)の影響を強くうけている。「事実と意見」「段落(パラグラフ)」などである。戸田山和久の『論文の教室』は、読めばわかる。戸田山和久は、木下是雄を、超えるところがある。論証の形式や、論理のプロセス、である。
ところで、このアカデミックライティングの授業は、学期末には、課題図書を指定して、その「要約」を書かせることにしている。「要約」は、「読書感想文」ではない。(「読書感想文」ほど、日本における作文教育、文書コミュニケーション技能教育を阻害しているものはないと、私は考える。)
その課題となる本は、科学ジャーナリスト大賞を受賞した本、ということにしている。
第1回は、福岡伸一.『プリオン説はほんとうか?』.講談社(ブルーバックス)
第2回は、村松秀.『論文捏造』.中央公論新社(中公新書ラクレ)
今年の受賞の本は、新書本では2冊
海堂尊.『死因不明社会』.講談社(ブルーバックス)
松永和紀.『メディア・バイアス』.光文社(光文社新書)
今年度は、この2冊を最終課題レポートの課題図書にする。ただ、刊行時期の関係によるのであろうが、
池内了.『疑似科学入門』.岩波書店(岩波新書)
が入っていなかったのは、残念な気がする。(2008年4月の刊行)。
科学ジャーナリスト会議
當山日出夫(とうやまひでお)
『タンゴステップ』 ― 2008-05-30
2008/05/30 當山日出夫
机のまわりには、本が積み重なっていくばかりである。それでも、出ると買ってしまう。死ぬまで絶対に読むことはないであろう、と思いながらも、専門にかかわる学術書は、買ってしまう。どの本が、とまでは言わないが。
一方、楽しみで買う本もある。ミステリの類である。ちなみに、来月、花園大学での講演会で話しをする、綾辻行人、有栖川有栖、などの著書は、デビューしてからかなりの時期まで、初版本で持っている。
花園大学
ミステリ講座 『綾辻行人&有栖川有栖のミステリ・ジョッキー』
http://www.hanazono.ac.jp/education/lifelong/open/mystery080621
それはともかく、最近、良質の警察小説が、なかなか出ないような気がする。私個人の趣味としては、英国の警察官が主人公である作品が好きなのだが。
警察官小説としては、最近のものでは、『あなたに不利な証拠として』(ロン・リー・ドラモンド、ハヤカワ文庫)であろう。警察官ではないが、警察捜査の内側からものとしては、ジェフリー・ディーバーの「リンカーン・ライム」シリーズがある(これは、最初の『ボーン・コレクター』から、すべて単行本の初版で持っている。もちろん、翻訳であるが。)
翻訳の警察官小説としては、ヘニング・マンケルがある。舞台は、スエーデン。その最新の本が、『タンゴステップ』。まずは、これから、読むことにする。
はやく読まないと、来月には、『フロスト』の新刊が出てしまう。
『タンゴステップ(上・下)』(創元推理文庫).ヘニング・マンケル/柳沢由美子(訳).東京創元社.2008
當山日出夫(とうやまひでお)
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