専攻の壁・学科の壁・学会の壁2008-06-03

2008/06/03 當山日出夫

蒼猴軒日録での、コメントについて。

http://d.hatena.ne.jp/morohiro_s/20080528

ここで、美術・映像関係の学会が紹介されている。佐藤さんに感謝。

私自身は、大学は、文学部国文科で、日本語学(国語学)を勉強したから、主な、日本語学や日本文学関係の学会の事情は、なんとなく、経験的な知識としてある。

たとえば、日本語学会(旧・国語学会)、訓点語学会、方言研究会、近代語学会、計量国語学会、社会言語科学会、など。

あるいは、文学関係であれば、上代文学会、中古文学会、中世文学会、近世文学会などの時代別の、学会。上代でも、さらに、万葉学会、古事記学会、などがある。また、和歌、説話、仏教文学などの、諸学会。

デジタル&インターネットの時代になって、これらの学会の情報が横断的に分かるようになったか、というと、必ずしもそうではない。やはり、大学の中の学部の中の学科の中の、さらに、それぞれの研究分野の単位というものは、厳然として存在する。

ARGや、笠間書院メールマガジンは、すばらしいとは思う。しかし、それでも、文学関係と、映像・美術関係を、つなぐのは困難な状況かもしれない。

笠間書院

http://kasamashoin.jp/

文学研究でも、絵巻・奈良絵本など、絵画にかかわる資料をあつかう。また、写本の画像データも利用するようになってきている。私の専門である、文字研究では、文字の画像データ無しには、もはや研究できないとい言ってもよい。 近世文学研究では、本の挿絵や、浮世絵などは、必須の研究テーマである。

今後は、映像・画像関係の学会や研究会情報にも、目をくばらないといけない。

単に、技術的には、インターネットで横断的に……というのは簡単である。しかし、実際に、個々の研究者単位での研究テーマや、その対象を、つなぎあわせるのは、まだまだこれからかな、という印象ともつ。つまり、『デジタル・ヒューマニティーズ』は、まだまだ、これからであると、思う次第である。

実は、これは、今日のGCOE火曜セミナーでの発表(英語)を聞いていて、漠然と感じた印象。

http://www.ritsumei.jp/humanities/index_j.html

當山日出夫(とうやまひでお)