JADS(1)2008-06-09

2008/06/09 當山日出夫

2008年6月7・8日と、アート・ドキュメンテーション学会が、京都マンガミュージアムで、開催された。今回から、その報告を、書いていくことにする。

第1日目は、第58回 研究会 シンポジウム

まず、基調講演として

イメージとテクストの交換:歴史的事例から見るアート・ドキュメンテーション

鷲見洋一

いきなり、個人的なことで恐縮であるが、鷲見さんは塾員(慶應義塾)。すでに、慶應義塾大学もはなれて、今は、中部大学。そして、私も、卒業してから25年が経過している。私が文学部の学生(国文)のとき、仏文の助教授だった。

私の頭のなかの鷲見さんは、フランス文学の先生、というイメージが強固にあったのだが、この話しを聞いて、そのような印象は、雲散霧消してしまった。

まず、イメージとテクストについて、ホラティウスからはじまる。「詩は絵のごとく Ut pictura poesis」が、時の経過とともに逆転して、「絵は詩のごとく Ut poesis pictura」になる。つまり、「絵」を、「文章」のように読み解くという方向に向かっていくのである。いいかえるなら、「絵の文法」が成立する。寓意画である。

しかしながら、18世紀以降、「絵」は、独立する。「絵」を「絵」として見るようになる。「絵」は「絵」によってしか、表現できない領域に、向かうことになる。これが、特に顕著に観察できるのが、フランス18世紀の『百科全書』。

さらに19世紀には、写真の発明がある。さらに、写真は、映画へと発展する。そして、映像は、映像として、自立した表現メディアになる。その例として、非ハリウッド的映画の代表として「ライフライン」が、紹介される。そして、この段階において、映像は映像として独立した表現手法をとりながらも、かつての寓意画のごとき様相をしめす。

と、このように書くと、いかもにかたい印象がある。しかし、それを、鷲見さんは、絶妙な、パワーポイントの画像表示で、楽しく見せてくれた。

そして、最後に、非常にわかりやすい3つの事例で、しめくくった。

1.池波正太郎『鬼平犯科帳』の原作(小説のテクスト)と、さいとうたかおのマンガ。その同一のシーンにおける描写の違い。

2.『明日のジョー』のマンガ版と、そのアニメ化の、同一シーンの、描写の技法の違い。必殺クロスカウンター、の場面。

3.『のだめカンタービレ』のマンガ版と、カラヤン指揮のベルリンフィルの演奏の比較。ロッシーニ「ウィリアム・テル」の冒頭。

印象として、既存のジャンルを超えた研究領域がなりたつことを、明確に予感させるものであった。この点、私の知見のおよぶ範囲で、日本文学研究の分野でも、テクスト資料と、絵画資料を、総合的に研究しようという、動きがある。

いわゆる「古典」研究であるか、現在の「ポピュラーカルチャー」であるかを問わず、画像・映像、テクスト、さらには、音楽・音声、これらを、総合する研究領域の未来が、少しではあるが、実感として、見えてきたような気がする。

以上の紹介で、鷲見さんは、劇画といっているが、私の方で、マンガに、統一させてもらった。鷲見さんが、劇画の用語をもちいたのは、それなりに理由があってのことと思うのではあるが。

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』326号:あちらこちらの『世説新書』2008-06-09

2008/06/09 當山日出夫

ARGの326号についていささか。

私の興味・関心のある分野としては、京都国立博物館の

所蔵国宝・重要文化財・名品高精細画像閲覧システム

http://www.k-gallery.jp/

http://d.hatena.ne.jp/arg/20080502/1209654474

である。このサイトでは、私が見たい本が見られない。それは、

『神田本 白氏文集』巻 三・四(新楽府)

この本、重要文化財に指定されている。だが、まだ、このサイトでは、見られない。

というよりも、京都国立博物館のHPのトップから、どうやってリンクをたどればいいのか、わからない。

京都国立博物館 日本語HP

http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html

ここからリンクでたどれるのは、「収蔵品」のところ。そこには、収蔵品データベースがある。しかし、これはここで、とまってしまっている。

収蔵品データベース

http://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/index.html

ここからは、『神田本 白氏文集』にたどりつける。

はっきり言って、京都国立博物館内の、『所蔵国宝・重要文化財・名品高精細画像閲覧システム』と『収蔵品データベース』の関係が、不明なのである。これは、単に、私の探し方が、下手で見落としているだけなのか。

それから、同じものが、別のサイトで、別ルートで、見られることがある。東洋の古典籍としては、国宝『世説新書』である。

KNM Gallery『世説新書』

http://www.k-gallery.jp/cgi-bin/list.cgi?mz_synm=0000003426&&kubun=B_01&display_no=6&limit_no=1&next=0

e-国宝『世説新書』

http://www.emuseum.jp/cgi/detail.cgi?SyoID=3&ID=w025d&SubID=s000&Link=

文化遺産オンライン『世説新書』

http://bunka.nii.ac.jp/Index.do

東京国立博物館『世説新書』

http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=B07&processId=02&colid=TB1570

それぞれに見せ方、画面解像度もちがう。それから、利用条件の記載も異なっている。どれを、どう見てつかえば、いいのであろうか。

また、今回のARGは、編集日誌が、非常に読みごたえがある。それについては、追って書くことにする。

當山日出夫(とうやまひでお)