JADS(4)2008-06-15

2008/06/15 當山日出夫

JADSのシンポジウム、次の発表は、

(財)松竹大谷図書館の資料整理方法について

発表は、ここの「司書」の 井川繭子さん

松竹大谷図書館

http://www.shochiku.co.jp/shochiku-otani-toshokan/

ここで、あえて「司書」の肩書きに触れたのは、この発表が、(私の感想であるが)、「ライブラリアン」の視点からのものであったことである。芸能・演劇研究者に、資料検索をサービスする(レファレンス)、という発想が、根底にあると感じた。映画・演劇研究者からのものではない。だが、これは、悪い意味で言っているのではない。私なりに感じ入った次第である。

ライブラリアン、レファレンス・サービスについては、ARGでも、多く話題になっている。

この発表は、3つの主要な部分からなる。

第一に、松竹大谷図書館のコレクションの概要。昭和33年の開館から、独自の分類法で整理。現在、約39万点の資料がある。

第二に、平成16(2004)年度から導入した、図書管理システムについての説明。使用のシステムは、「LX(Library Expert)」(システム・ラボ)。これを選んだ理由としては、利用目的に応じて、カスタマイズが容易であるからとのことであった。

松竹大谷図書館は、映画・演劇関係の多種多様な資料をあつかう。演劇であれば、その、タイトル、出演者、劇場、などが基本的な項目である。しかし、資料の特殊性として、役者が、「何代目の誰」であるか、など問題になる。これについては、「市川團十郎」でも検索できるし、また、現在の「市川團十郎」個人の、以前の芸名でも検索可能。

また、演じられた演目などのについて「件名」として「キーワード」一覧が表示される。例えば、「A」のところには、安倍宗任、油地獄、在原業平など、「B」には、化猫、弁慶、牡丹灯籠など。

まさに、映画・演劇研究に特化したシステムによって、閲覧者の要望に、こたえらえるようになっている。

第三に、この閲覧・検索システムを、背後で支える、図書館内部の業務には、データベース『桐』を使っているとのこと。実は、この『桐』(現在は、Ver.9、管理工学研究所)、最初に出たときから、私はずっと使い続けてきている。ファンクション・キーと、マウスの操作だけで、ほとんどの処理が可能。文字列検索に、「正規表現」を使用する必要はない。現在、『桐』の最新版は、JIS漢字コードの範囲しかあつかえない。ユニコードの拡張領域には、対応していない。これは、ある意味で、欠点ではあるが、逆に、うっかり変な文字を入力してしまわない、という安心感もある。ユニコードは、見方によれば、ゴミのような文字のかたまりといってもよい。

松竹大谷図書館という特殊な図書館の事例ではあるが、図書館における、ライブラリアンの役割、レファレンス・サービスとは、ということについて、考えさせられる発表であった。

當山日出夫(とうやまひでお)