新常用漢字:漢字だけの頻度調査から何がわかるのか2008-06-25

2008/06/25 當山日出夫

小形克宏さんの「もじのなまえ」で紹介がある。

http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20080619/p1

“情報化時代”に追いつけるか? 審議が進む「新常用漢字表(仮)」

第1部 漢字小委員会の考え方と審議状況

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/jouyou/2008/06/19/19998.html

が、ようやく5回目をむかえている。次回から、第2部にすすむらしい。

第1部の、第5回では、

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折りから字ではなく語のレベルの頻度を明らかにした『出現文字列頻度数調査』がまとまったばかりであり、委員からの回答とこの調査により、漢字WGが最初から220字を洗い直す作業が行なわれた。

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とある。だが、これは、(実物を、みたわけではないが)、「コーパス」とは、ほどとおいものであろう。

まえにもかいた、漢字だけをみていたのでは、漢字のことは、わからないのである、と。

「朕」「璽」などは、おそらく「かな」で、かかれることは、ないであろう。

だが、「熊」は、「くま」「クマ」などの表記もある。「熊」を確実に漢字でかくとすれば、「熊本県」を漢字でかくときぐらいであろう。一般に、動植物名として、どのように、かかれているのか、それは、「漢字」ではなく、「語」のレベルでしらべないと、わからない。

行政単位(都道府県名)の表記漢字として、「熊」をいれる、これは、これで、ある意味で、すじのとおったはなしである。しかし、動物の「くま/クマ」をどうかいているかは、漢字の「熊」の頻度調査からは、絶対にわからない。

漢字選定の判断基準として、「仮名書き、ルビ使用で、対応できる」というのであれば、まず、その語が、現在の日本語で、どの程度、「かな」で、かかれているのかの、実態調査が基本になければならない。

これは、ことぼ・文字・表記を、あつかうときの、最低限の、学問的なてづづきである。この最低限のてつづきを、もし、おこたっているとするならば、今回の、常用漢字改訂の議論は、根底から、くつがえさなければならない。

たとえば、日本語学会のシンポジウムで安岡さんの発表にあった「箸」。これは、いったいどれほど、「語」としての使用例があり、それは、「箸・はし・ハシ」いずれで、かかれるのか。そして、もし出現にかたよりがあるとするならば、それは、どのような様相をしめすのか。このことがわからないままで、「箸」の漢字について、議論することは、どのような意義があるのか。

これは、良識と良心の問題であると、おもう。

この文章、野村雅昭さんの方式でかいてみた。かこうとおもえば、かけるのである。(ただし、「引用」はのぞく。)

當山日出夫(とうやまひでお)

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