新常用漢字:俺ではなく箸が問題2008-07-16

2008/07/16 當山日出夫

小熊さん、コメントありがとうございます。実際の生活で、「俺」を手書きで書く必要性というのは、どんな場面だろう……とは、思ってしまいます。まさか、ラブレターということはないでしょうが。

しかし、問題は、「俺」が入ったことではなく、「箸」が生き残ったこと。この字については、5月の日本語学会のシンポジウムで、安岡さんが、事例に出した字。

これを、実装フォントのレベルで解決するなら、さほど、問題は、おこらない。しかし、文字の規格に影響するとなると(JIS規格票の改訂)、世界の中での日本語の漢字を、どうかんがえているんだろう、委員会の人たちは、と思ってしまう。

シンポジウムの会場、いや、壇上にいたはずなのですが、何を聞いて理解したのか。

ともあれ、今週末、7月19日(土)、花園大学にて、1時30より、

ワークショップ:「文字-(新)常用漢字を問う-」

http://kura.hanazono.ac.jp/kanji/20080719.html

を、開催。すでに、安岡さんからは、きわめて大部な発表資料を送信してもらってある。(7メガもあるPDF)。この資料をもらいに来るだけでも、このワークショップの価値がある。タダです。(いや、他のみなさんの発表にも期待しています。)

それから、やはり興味深いのは、朝日新聞が、ネット版で、コード化して掲載したこと。5月の素案レベルのときは、画像データだった。字体はこれから決めるということで、強いて、画像にする必要性がないと判断したのだろう。

當山日出夫(とうやまひでお)

コメント

_ おがたかつひろ ― 2008-07-17 00時10分17秒

> しかし、問題は、「俺」が入ったことではなく、「箸」が生き残ったこと。

いや、まあ印刷標準字体の点付きの方の「箸」を追加すれば問題は(一応)ないのですし。

ぼくは追加される字体は印刷標準字体に則ったものになると思っています。じつのところ、それは選択の余地のないことです。新字体だとUCSに互換漢字で追加提案することになってしまいますから。Unicode正規化が実装されるに従い、これにより必ず置き換わってしまう互換漢字は、これからどんどん使えなくなります。

たとえUCSのことは前文で一言も触れていなくても、こういう状況で互換漢字になる字体を常用漢字表に追加する選択肢はないと言えます。あえてそれをやるというなら、それはそれで見物ですが、まあ、そこまで文化庁は無分別ではないと思います(笹原さんもいらっしゃいますし)。

この問題は、どの字が追加されるかと言うより、日本国政府が字体規範を規定するにあたり、自由意志ではなくUCSの都合により(全部でなく一部にせよ)決めざるを得ないということではないでしょうか。まさにグローバリズム、まさに情報化時代。面白いなあ。

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