『ARG』340号 ― 2008-09-15
2008/09/15 當山日出夫
ここしばらく、不調で、ほとんど何もできない状態でいたが、ともあれ、どうにか、じっと机に向かっての仕事はできそうなので、まあ、とりあえず。
ARG340号について、いささか。
読むべきは、冒頭の、中山貴弘さんの
「図書館から公開された「キク科の染色体数データベース」-その意義と大学研究成果の継承をめぐって」
である。大学図書館における、研究情報の蓄積・公開という視点から、興味深い。だが、私の関心から目にとまったのは、次の一節、
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図書館側としても、電子図書館でお宝的な貴重書を電子化公開するような、あまりアクティブではないコンテンツばかりを構築するよりも、神戸大学の独自性を目指す上で歓迎すべき仕事となった。
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ARGで紹介される、新発見の学術リソースとして、こう言っては失礼かもしれないが、「お宝的な貴重書を電子化公開」で、あるものが多い。これはこれで意義のあることではある。
私の思うところ、「お宝的な貴重書を電子化公開」は、いいとしても、それが、横断検索で探し出せる状態に無いと、ネットの中で埋もれてしまう、という危惧がある。知っている人は、知っているけれども………、というだけに終わってしまいかねない。
この問題は別にして、研究成果は、基本的に個人の研究者に帰属するとしても、そのもとになったデータ(たとえ、それが、研究文献リスト一覧であっても)それはそれとして価値がある。そして、これこそが、インターネットによってこそ、公開可能で、また、必要とされているものかもしれない。
著書とか論文であれば、その公開・共有のシステムは、ある程度、構築されていると言ってよいであろう。(ただ、中には、種々の事情で、公開されていない、学会誌などもあるが。)
神戸大学図書館の事例は、むしろ、アーカイブズの側の発想から見て、「研究資料アーカイブズ」のデジタル公開、ととらえるのが適当ではなかろうか。このような観点で見れば、それを、今後、誰がどのように継承すべきか、自ずと答えは見えてくるのではないだろうか。
さて、10月4日(土)である。日本アーカイブズ学会(私も会員)の「デジタル情報技術が拓くアーカイブズの可能性」には、できれば行きたい。でも、次の週には、別の学会で、発表しなければならないし、その準備もあるし、今回は、あきらめざるをえないかな、というところ。
當山日出夫(とうやまひでお)
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