『ARG』340:国家と言語と国旗のアイコン2008-09-15

2008/09/15 當山日出夫

ARGの340号を読んでの続き。

岡本さんは、「ささいだけど大切なこと」として、英語版サイトへのリンクを、どのアイコンで、示すかに問題提起している。

http://d.hatena.ne.jp/arg/20080914/1221377532

この問題、現・日本語学会(←旧・国語学会)の会員を、大学院生のときから続けている人間の一人としては、おろそかにできない。

同じ、ARG340号のイベント案内で、紹介の、ゲーテ・インスティテュートでのシンポジウム「日本とドイツの新たなトレンド」を見ると、

http://www.goethe.de/ins/jp/tok/wis/ja3566477v.htm

ここでは、明確に、日本語=日本の国旗(日章旗)、ドイツ語=ドイツ国旗、のアイコンで表示している。意外なところに、見つかったものである。(といって、ここで、日本のゲーテ・インスティテュートを、批判しようとは思わない。)

確かに、言語と国家・民族(さらには、宗教)、これらは、きわめて錯綜した関係にある。言語の専門家は、決して、「母国語」の用語は使わない。「母語」という。(このことは、学生にも、厳しく教えることにしている。)

とはいえ、ある言語を、何か視覚的なイメージで表せ(=アイコンをデザインしろ)となったとき、何も無いのも、一方での事実と認めざるをえない。

ここで、強いて採用するとならば、国旗であろう。

英語であれば、イギリス国旗(ユニオンジャック)か、アメリカ国旗(星条旗)になる。このうち、どちらかを選べと言われれば、私なら、ユニオンジャックの方を選択する。(その言語が、もともとどこで使用されていたか、という観点からであるが。)

だが、他言語(日本語から見て)のHPを見る人間ならば、その言語の名称を、その言語の文字で書いておけば済むことである。そもそも、読めなければ、見ないのであるから。

それにしても、分子生物学会は別にしても、埼玉大学・政治思想学会・九州大学附属図書館、などは、国語学会 → 日本語学会 への名称変更をめぐって、どのような動きがあったか、把握していなければならないはずである。国語学というか、日本語学というか。この問題、少なくとも、アカデミックな人文社会科学系の分野には、知られているかと思ったが、案外、そうでもないらしい。

當山日出夫(とうやまひでお)

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