新常用漢字:椎名か脊椎か ― 2008-09-24
2008/09/24 當山日出夫
先日の、常用漢字の再改訂案。
私の場合、「椎」という文字だけを見たとき、「シイ」と読んでしまった。しかし、各種の報道関係のHPを見ると、「脊椎」など「ツイ」と読むことで、入れることになったらしい。
以下、邪推であるが、当初、「単漢字」レベルでの調査で候補漢字を選んだとするならば、「椎(シイ)」も「椎(ツイ)」も、区別できない。動植物名、固有名詞は、基本的に排除という方針であったとすると、「椎名」や「椎の木」などは、除外の対象になる。
しかし、コーパスを使っての調査であるなら、これは、明確に分離して、用例や頻度が分かったはずである。
「蒙」をはずす理由はわからない。「啓蒙」は、一般的なことばだと思う。「蒙古」も、ごく一般に使用する。これについては、少なくとも、「蒙古」と「モンゴル」との、現代日本語での使用例を、つぶさに検討する必要があろう。
今回の件、問題点としては、以下の二つがある。
最初の調査が、「単漢字」の使用頻度であったこと。それを、「コーパス」を使って、再調査すると、別の結果が得られるはずである、ということ。
また、前回の委員会で、決まったことを、さらにくつがえすことの問題点。これは、もう一回、調査をやりなおす必要性、また、なりゆきによっては、さらなる漢字の増減もあり得るという印象を、社会に与えてしまったこと。
パブリックコメントを前に、これは失策というべきであろう。委員会には、さらなる説明責任がある、と私は考える。
當山日出夫(とうやまひでお)
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