新常用漢字:情報化時代への対応とは ― 2008-09-27
2008/09/27 當山日出夫
でたばかりの本であるが、読んでみた。
『ブログ論壇の誕生』(文春新書).佐々木俊尚.文藝春秋.2008
この本の内容とはちょっとはずれるが、(新)常用漢字表が、新しい情報機器への対応ということを配慮して決めるということ、であるならば、次のことも考慮しておかなければならない。
改訂案の新聞報道、あるいは、これから実施されるであろう、パブリック・コメントについては、インターネットの情報空間のなかで、議論される。そして、それは、既存の紙の媒体(新聞・雑誌や書籍)よりも、インパクトが大きい。関係者(委員会のメンバー)は、このことを理解していたか。
コンピュータで使う文字にかんすることは、コンピュータ(インターネット)においてこそ、議論の対象になる。今は、こういう時代である。かつての、PC-9801の時代ではないのである。
なお、今年7月に開催となった、「WS:文字」は、今年のうちに書籍化の方向で動いている。これは、確かに本として世に出る。しかし、その議論の基本になっていることがらは、すでに、インターネット上の各ブログで、考えられてきたこと。
それを本にするということは、書物という安定した形で、世の中に提供して、このような議論があったということを、後世に残す、このことにあると思う。この意味では、書籍化は、非常に重要である。
もし、今後、ネットでの文字使用調査を継続するならば、ひょっとすると、新常用漢字案に漏れた文字についての、言及・使用例が増える可能性がある。「なぜ、この字がはいらないのか」というようなメッセージ。これを、単に、単漢字レベルので頻度調査とするならば、このことは、見てとれない。これに対応するには、文脈つきのコーパス作成しかない。このスパイラルのなかに、「文字についての議論」が入り込んでいること、これが、将来においての(次の次の改訂まで視野にいれれば)大きな課題になるだろう。
當山日出夫(とうやまひでお)
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