『ARG』355号の感想2008-12-30

2008/12/30 當山日出夫

『ARG』355号について、すこしだけ。

今回の号で、気になるのは、「郡山女子大学図書館、SBMを応用した郡山女 子大学図書館パスファインダー」である。

http://d.hatena.ne.jp/arg/20081228/1230466419

「こころみ」としては、確かに新鮮であり、価値がある。強いて難を言えば、 ということになるのか、あるいは、SBMに代表される、いわゆる「集合知」 の課題でもあるのだが、とにかく、ある一定量の情報があつまらないことには、 その意味がない。そして、さらにその先の課題がある。

現時点で、ここにアクセスしてみる。まず、トップにあるのは、「松尾ぐみの 論文執筆」。実際には、松尾豊(東京大学)のHPにリンクしてある。ここま ではいいのだが、さて、ここで紹介の方法が、「論文執筆」のスタンダードで あるかどうかとなると、いさかか気になる。

実際に、学生に文章の書き方を教える身となると、参考文献の書き方ひとつで も、さまざまに流儀がある。そして、その分野の流儀に反しているだけで、相 手にされない、ということあり得る。学生には、この点は厳しく言う。当該分 野の参考文献リストの書き方のルールにのっとっていない場合、その時点で、 (中身を読む前に)、その論文やレポートは、シュレッダーにほうりこまれた と覚悟すべし!

ただ、これは、数をあつめただけで解決する問題ではない。個々の分野の参考 文献の書き方のルールの集積だけでは、ある意味では、なんの意味もない。ま ず、教えるべきは、各分野ごとにルールがある、というルールの認識である。 そのうえで、自分の勉強している分野のルールを知れ。

たとえば、自動車が道の左を走るか、右を走るかは、それぞれの国によって違 っている。しかし、国によって異なること、そして、どちらかに決まっている、 ということは知っていなければならない。

道の右を走る国、左を走る国、それぞれのリストを作って集めても、これは、 「集合知」にはならない。ここから、さらに、上述のような知見を導き出せて こそ「知」である。それ以前のもの(個々の国別のルール)は、データである。 (これは、あくまでも、私の考え方。)

SBMもまだまだ発展途上。ようやく本格的にスタートしたばかり。ここで難 点を言うのは、無理な注文であることは承知している。まず始めないことには、 先につながらない。この意味で、まず、始めたことを評価したい気持ちである。

ところで、くだんの郡山女子大学の図書館から、大学にリンクしてないようで ある。大学からは、図書館へのリンクがたどれる。これは、大学図書館のHP の作り方として、いささか問題があるのではと思うが、どうであろうか。

當山日出夫(とうやまひでお)