土方巽の舞踏と舞踏譜2009-02-13

2009/02/13 當山日出夫

私の年代であれば、土方巽(ひじかたたつみ)の舞踏(ぶとう)は、デフォルトの知識であるのだが、どうも、最近の若い人はそうでもないらしい。しかし、先日の、

土方巽・舞踏フィルム上映 in 京都
http://d.hatena.ne.jp/p-butoh/20090203

の前日の方は、結構、若いひとがいた。どういうつながりで、知っているのだろう。

この件については、きわめて多くの書きたいことがある。が、それを、簡略にまとめるならば・・・人間の身体表現の極致とまで賞された土方巽、普通に思い浮かぶのは、「疱瘡譚」、ひとが床のうえでのたうちまわっているかのごときシーンであろう、これが、まったくアドリブなし、完全に「舞踏譜」という「ことば(語)」で記述され構成されたものである、ということ。また、舞踏譜とその身体動作は、訓練によって、身につけることが可能。この舞踏譜のトレーニングは、まったく個性の入り込む余地がない。

近代の芸術が、もし、個人・個性の表現と分かちがたいものであるとするならば、土方巽の舞台は、完全に、没個性の表現(?)になる。舞踏譜による訓練を受けた人であれば、土方の舞台を再現可能なのである。

ある「かた」にはまった身体動作による表現ということでは、いわゆる伝統的な芸能(能楽や日本舞踊)が思い浮かぶ。一般的に、その対極あるものとして、土方の舞踏が位置づけられてきたように思う。実際は逆で、土方の舞踏の方が、完璧に「かた」を組み立てたものである。

さて、このようなことから、人間の身体動作の伝承とか、うごきの規範ということに発想がながれていく。今後は、慶應アートセンターの土方アーカイヴの研究に注目することにしよう。

當山日出夫(とうやまひでお)

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