蘭学事始のことなど2009-03-12

2009/03/12 當山日出夫

松田清さんのブログ「松田清のtonsa日記」で、前野良沢のことに触れてある。

前野良沢資料集 第一巻
http://d.hatena.ne.jp/tonsa/20090312/1236825499

前野良沢については、人並み(?)の知識しかもちあわせていない。高校の教科書(日本史)に登場する程度のこと。『蘭学事始』は、確か岩波文庫で読んだかと思う。

それから、忘れられないのは、吉村昭の『冬の鷹』。杉田玄白と前野良沢を対比的に描く。ひたすら蘭学にうちこむ前野良沢の姿が、非常に印象的である。

蘭学という学問領域がどのように形成され、また、どのように消えていったのか。常識的には、近世から明治にかけての学問史、ということになる。自分のかかわる「国語学」については、ある程度わかるつもり。近年の「国語学批判」によって、逆に、「国語学」という学問の成立事情が明らかになったということもある。皮肉なことではあるが。

人文学の危機的状況がさけばれるなか、日本語研究はどうなのか……といわれると、実はあんまり実感としては無い。少なくとも、歴史的な文献資料をあつかう分野があぶない、ということは分かる。

しかし、裏返せば、むかしは、あまり現代語のことを研究してこなかった。どのような分野でも、人的リソースは限られている。国語学・日本語研究という分野内部での、リソースの配分の問題かともいえるが、さて、どうであろうか。

とはいっても、日本語研究全体をみると、現在では、コンピュータによる言語処理など、工学系の研究者が増えていることは確か。

ところで、もとにもどって、蘭学事始。蘭=阿蘭陀(オランダ)であることはいうまでもない。私は、オランダ語の辞書を一冊だけ持っている。どのような辞書かというと、インドネシアがオランダの植民地であった、そのため、インドネシアでのオランダ語のための、オランダ語辞典。

日本語とオランダ語とのつきあいは、江戸時代のことに限ったことではない。

當山日出夫(とうやまひでお)

コメント

_ tonsa ― 2009-03-13 01時32分18秒

出張先のため辞書が手元になく、正確ではありませんが、ファンデスタット編『日蘭辞典』(台北、1930?)がありますね。南洋庁の出版だったと思います。

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