「広場の文字/ことば」としての「翔」2009-04-08

2009/04/08 當山日出夫

ともあれ、平和な日本の状態にもどって、すこし考える。

おがたさんの「もじのなまえ」で
ロケットでもミサイルでもなく――再び、なぜ「飛翔体」なのか
http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20090407/p1

たぶん、私の考えていることと、ほぼ重なるかなと(勝手に思っている)。

「飛翔体」の語は、防衛省関係では、すでに馴染みのある語であるので、政府をこれをつかった。しかし、事前には、使用していない(?)。すくなくとも、ニュースなどでながれていたことばは、「ミサイル」「テポドン」であった。

あるいは、政治的に、問題の無いことばとしてつかった。「ミサイル」か「人工衛星」か不明な段階で、(発射されたまさにその時点において)不明なものを、断定的に表現することは避けた。その結果、「飛翔体」になった。

ミサイル・ロケットなど、ともかく空に飛んで行くものを「飛翔体」というのなら、事前にその用語の説明があった方がよかった。また、事前に、マスコミにも周知しておくべきであった。

今回の件で、「飛翔体」ということばも、「広場のことば/文字」に入ったと考えてもいいだろう。次に、使われるときは、「飛翔体=ミサイル」の意味で、多くの人はつかうことが予想される。

「広場の文字/ことば」であり、可能な限り政治的に中立的であり、という文字は、どのようなものになるのか。というあたりから、「翔」は考え直してみたい。

なお、「新常用漢字表(仮称)」で、「楷書」の「楷」が書けない問題などについては、追って別のところで。

當山日出夫(とうやまひでお)

「飛翔体」は常用漢字で書けないこと2009-04-08

2009/04/08 當山日出夫

小熊さんのコメントを見て、すこし。

たしかに、おがたさんの「もじのなまえ」のコメントやSBMなど見ますと、特定の業界・専門領域では、既に周知の語であった、ということは、わかります。

ただ、私が、気にしているのは、突然「飛翔体」に名称が変わったこと、です。それまでの新聞やテレビなどの報道では、ミサイル、テポドン、などといっていたものが、政府発表で、突然、表に出てきてしまった。だからこそ、当日のテレビ報道のテロップなどでも、めまぐるしく表記が変わって揺れ動いた、と思いまます。はじめから、政府の用語としては「飛翔体」と称するということが判明していたならば、混乱は無かったでしょう。

たまたま、その時刻(日曜日の昼間)テレビを見ていて、各局の対応がまちまちであったこと、同じ局でも揺れ動いたことに(文字のことを考えている人間としては)目がいってしまった、という流れと思っていただければいいでしょう。この時間帯の全部の報道が録画してあると検証できるのですが。

固有名詞ではなく、普通の語(?)として、常用漢字では書けない語が、出てきたとき、どう対応するか、です。まあ、目安なんだから、「飛翔体」と全部漢字で書いてもいいわけですが、朝日新聞などは、ルビつきの表記にしています。これは、やはり、常用漢字(現行)に配慮した結果というべきででしょう。

當山日出夫(とうやまひでお)