『CUDカラーユニバーサルデザイン』2009-05-09

2009/05/09 當山日出夫

『カラーユニバーサルデザイン』.NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO).ハート出版.2009

CUDO
http://www.cudo.jp/

やっと、きちんとした本が出たな、という印象をもつ。

日本人男性の約2~5%は、「色覚異常」の症状をもつ。伴性劣性遺伝(つまり、遺伝子に起因するため)治療法はなく、かつ、人口の一定の割合で存在する。

いわゆる「色盲」である。といって、「色」が見えないのではない。一般的な色覚の人とくらべて、違いを認識できる色の違いが異なるということである。

私ぐらいの世代であれば、学校の健康診断のとき、必ず、「石原表」(仮性同色検査表)を見せられたものである。したがって、「色盲」の人がいる、という事実認識はもっている。しかし、それが、どのようなものであるのか、どのような色の世界を見ているのか、それによってどのような社会的問題があるのか、どれくらいの人がその症状を有しているのか、習ったことはない。

そして、現在では、健康診断から、色覚検査が無くなっている。大学受験などで、色覚異常だからといって、理学部・工学部、医学部などで、受験拒否ということは無くなっている。

だが、問題は、なんら解決されていないに等しいともいえる。いいかえれば、色覚異常という問題を、社会から隠蔽してしまっただけにすぎない。

この問題に私が関心をもちはじめたのは、ふとしたきっかけによる。まずは、色彩学一般から、自分で勉強し始めた。

以下、私の書いた論文を記しておく。CUDOの活動に敬意をはらうと同時に、また、わずかながらでも、自分のできることから実践しようと試みている人間の一人の活動の記録としてである。なお、現在、私は、黒板の板書に赤いチョークは絶対に使用しない。使うのは、白と黄色のみにしている。また、パソコンには、富士通のCD(カラードクター)を、かならずインストールしている。

當山日出夫.「色覚異常者にカラー印刷の辞書はどう見えるか」.『情報処理学会研究報告(2005-CH-68)』.情報処理学会.2005

當山日出夫.「英語辞書におけるユニバーサルデザイン-初級英和辞書を色覚異常の観点から検証する」.『福祉と人間科学』(花園大学社会福祉学会)Vol.16.2006

當山日出夫.「全訳古語辞典のカラー印刷と色覚異常-ユニバーサルデザインの視点から-」.『日本語辞書学の構築』、おうふう.2006

當山日出夫.「色覚異常者に黒板の赤いチョークの色はどう見えるか」.『人文科学とコンピュータシンポジウム』(情報処理学会,じんもんこん2006.同志社大学).2006

當山日出夫.「色覚異常の人に黒板の文字はどう見えるか-カラーバリアフリーの教育環境のために-」.『福祉と人間科学』(花園大学社会福祉学会).Vol.17.2007

當山日出夫(とうやまひでお)

コメント

_ 伊賀公一 ― 2009-05-27 08時31分56秒

當山様 初めまして。検索エンジンのクリッピングサービスで貴サイトを知りました。この度は拙著をご紹介頂きまして誠にありがとうございます。當山様の論文読ませて頂きます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします.

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