文化資源としてのデジタル画像データ2009-08-24

2009-08-24 當山日出夫

文化財デジタルアーカイブのための画像技術 最先端研究開発とアーカイブの現場から
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2009/08/21/4530132
http://d.hatena.ne.jp/JADS/20090821/1250850260

にどうにか参加。

個々の発表と、全体の討論のなかで、私が感じた点をひとつだけ記しておきたい。それは、文化資源としての画像データ、という観点のこと。

画像データには、基本的に2種類ある。

第一に、それ自身がデジタル環境で生み出されたもの。ボーンデジタル。CGなどがその代表になる。これを、現代の文化として将来に継承するか否か、その判断は別にしても、現代社会の文化資源であることはまちがいない。

第二に、すでにある文化財をデジタル化したもの。いわゆる、デジタルアーカイブである。これを、新しい文化資産としてとらえる観点もある。高精細デジタル画像だからこそできる研究もある(この方向をうちだしているのが、井手亜里さん)。また、数万点をこえる、また、世界にちらばっている大量の資料をデジタル化することによって可能になる研究もある(この方向としては、赤間亮さんの浮世絵研究。)

私の考えるところでは、いずれもが、現代社会における、新たな文化資源、特にデジタル技術によるものとして、評価しなければならない。Digital Cultural Heritage、である。

もちろん、現代のデジタル技術でという、ある種の制約はあるだろう。近い将来には、さらに高精細で大規模な画像データを手軽にあつかえるようになる可能性はある。だからといって、現時点のものが、見劣りするとは思えない。いや、すでに十分に、「デジタルだかからこそできる研究領域」を開拓するにふさわしだけの、質と量に達している。また、その研究成果の蓄積もなされつつある。

この方向に、人文情報学(デジタル・ヒューマニティーズ)の未来を、私は見る。

ただ、研究会での議論は、この先のところまでいかずに、デジタルカメラがいいか、スキャナがいいか、というレベルの方向になってしまったのは、いささか残念な気がしないではない。もうすこし時間の余裕をもって、多方面からの参加者をふくめて、再度の開催をのぞむ。

文化資源としての画像データ、デジタルアーカイブ、という方向が見えてきたように思える。

當山日出夫(とうやまひでお)

コメント

_ Ta-niiyan ― 2009-08-24 23時43分21秒

デジタル情報を利用する意味、画像でしかできないこと、制約があるからこそ取り組む課題について議論を望みます。

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