『グーテンベルクからグーグルへ』とDVD版『内村鑑三全集』のこと2009-09-30

2009-09-30 當山日出夫

『グーテンベルクからグーグルへ』.ピーター・シリングスバーグ(著).明星聖子・大久保譲・神崎正秀(訳).慶應義塾大学出版会.2009

http://www.keio-up.co.jp/kup/sp/gtog/index.html

う~ん、明星聖子さんとは、何度かあって、いろんな議論をしてきた。また、神崎さんの本は非常に勉強になる。こういう人たちの組み合わせ、まさに、デジタル環境下における編集文献学、と思う。

まだ、読んでいない。とりあえず、書いておく。が、読むべき本の、最優先にして机の上においてある。

以前にふれたことのある、DVD版『内村鑑三全集』。とりあえず、私の見解としては、グーグルブックサーチが「量」でくるなら、個々の出版社や研究者の求める方向は「質」であろう。どちらが、いい/わるい、の問題ではない。優劣の問題をこえて、共存できる道が、DVD版『内村鑑三全集』にはある。このDVD版、現在、古書店で買える「初版」から見ると、実質的には、「第2刷」の校訂を、さらに見直した、実質的な決定版(第3段階の校訂本文)になる。

これは、内村鑑三研究、聖書研究の専門家が、かなりの年月をかけて(実質的にコンピュータを使ってからでも数年以上)、その専門の目でみて作業の結果である。

これに、グーグルブックサーチは、絶対においつけない。もし、通常の全集(第1刷)が、グーグルブックサーチに入ったとしても、本文校訂の「質」を求める研究者は、こちらを使うべきだろう。

まさか、いかにグーグルといえども、このようなデジタル出版をそのまま、データとしてコピーして提供することはしないだろうと思う。そんなことをしたら、せっかくのグーグルブックサーチが、水泡に帰す。

當山日出夫(とうやまひでお)