冷泉家展の後半2010-05-14

2010-05-14 當山日出夫

今日、ちょっと時間がとれたので、京都まで行ってきた。京都文化博物館の冷泉家展である。この展覧会、前半と後半で、展示をいれかえる。つまり、見ようと思ったら、2回行かないとならない。で、こんどは、その2回目、後半の展示を見てきた。

興味深いのは、やはり『明月記』。原本は、紙背なのか。まあ、その当時のことを考えれば、これが当たり前なのかもしれないが。

それから、カタカナで書かれた和歌。展示の解説、それから、図録では、カタナカは僧侶の文字とある。(ちょっと異論が無いではないが、まあ、おおかたの理解としては、これでいいのであろう。)その、カタカナで書かれた写本群、承空本がずらりと展示してあるのは、興味深かった。

面白いのは、朝儀諸次第。朝廷でおこなわれる儀式のシミュレーションといえばいいのか、あるいは、記録でもあるのか。前半の展示のときに出ていた、小さな紙の人形をうごかして、儀式の予行練習をしたものらしい。どの位置にだれがいて、どこからどこへと人が動いて、など。

気になることといえば、もと、冊子であった本を、巻子にしている事例。「読む」ための実用を考えれば、冊子の方が便利にちがいない。これは、おそらく、本が、「宝物」のようになっていくプロセスがあるのだろう。たぶん、同時に、実用的読書のための臨模本がつくられているのかもしれない。このあたり、書物史、という観点からは、解説しておいてほしかった。

ともあれ、眼福のひとときであった。

當山日出夫(とうやまひでお)

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