斉藤洋『ルドルフとイッパイアッテナ』2016-06-19

2016-06-19 當山日出夫

新聞の本の広告を見ていたら、斉藤洋の『ルドルフとイッパイアッテナ』が文庫本ででるらしい。で、見てみると、映画化もされるとある。

我が家には、このシリーズ4冊(あるいは5冊)ある。

斉藤洋・杉浦範茂.『ルドルフとイッパイアッテナ』.講談社.1987
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061335059

斉藤洋・杉浦範茂.『ルドルフ ともだち ひとりだち』.講談社.1988
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061335097

斉藤洋・杉浦範茂.『ルドルフといくねこ くるねこ』.講談社.2002
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061335219

斉藤洋・杉浦範茂.『ルドルフとスノーホワイト』.講談社.2012
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061335226

それから、NHK版。これは、テレビで放送されていた時も、見ていた。

斉藤洋・堀口忠彦.『ルドルフとイッパイアッテナ』(NHKテレビ母と子のテレビ絵本).講談社.1990
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784063018110

たしか、はじめはNHKのテレビ絵本の番組で知った。まだ、子供が小さかったころのことである。一緒にテレビを見ていた。ナレーションは、毒蝮三太夫。それから、単行本を買ってきた。そろそろ、子供が自分で読めるかなというころになってからのこと。そして、続編の「ともだち ひとりだち」を買った。その次の「いくねこ くるねこ」になると、自分が読むために買ったように覚えている。最近の「スノーホワイト」になると、もう、完全に自分のためである。このときになれば、子供はもう大学生を終わっている。

我が家の本棚には、これ(ルドルフ)以外にも、斉藤洋の本は買ってある。そろえるというほどではないが、本屋さんでみつけると買うようにしてきた。それほど熱心というわけではないが、まあ、ファンのひとりと思ってもらってもいいだろう。「ルドルフ」シリーズのほかには「白狐魔記」シリーズなど好きである。

何が斉藤洋の魅力か……特に「ルドルフ」についてみれば、それは、主人公が成長していくことにあると、私は思っている。いわば、「教養小説」なのである。

多くの童話・児童文学は、主人公(その多くは子供である)を、子供の世界のなかに描き、その世界から出ることがない。しかし、いずれ、子供は成長していく。子供の世界から、外の世界へ、大人の世界へと、出て行かなければならない(はずである)。だが、たいての童話・児童文学の作品は、子供の世界の自己完結的な世界のなかにとどまるものが多い。

孤児(猫)となったルドルフは、いつまでも子猫のままではいない。飼い猫か、野良猫かの、自らのアイデンティティに悩みながら、大人の猫の世界にむかって、徐々にではあるが、生長していく。そして、大人の世界は、美しい正義の世界とは限らない。

最初は子供のために買っていた「童話・児童文学」を、面白いので、親の自分が自分で読むために買ってしまうということは、私の場合、ほかにもある。

たとえば、はやみねかおる……である。我が家には、「青い鳥文庫」(講談社)のシリーズでそろっている。決して、講談社文庫版になってから買ったのではない。これから先は、ミステリ談義になる。これぐらいにしておく。

もとにもどって、『ルドルフとイッパイアッテナ』は、現代日本における、最高にすぐれた「教養小説」であると、私はつよくすすめておきたい。

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