『べっぴんさん』なぜ面白くないか2016-11-10

2016-11-10 當山日出夫

毎日の習慣のようにして、NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)を見ている。いま放送しているのは、『べっぴんさん』。大阪の制作である。

はっきりいって、この作品は、つまらない。同時に再放送がはじまった『ごちそうさん』も、同じ大阪制作の作品であるが、どうしても、これと比べてしまう。

なぜか……私の見るところでは、四人の登場人物(女性)に、個性が感じられないのである。ヒロイン(すみれ)がお嬢様そだちという背景はいいとしよう。それにまじって、きわだった個性を見せているのは、明美。元使用人の娘で看護婦をしていたが失職して、すみれたちの店をてつだうことになるという設定。

しかし、のこりの二人(良子、君枝)に、個性というものが感じられないのである。見ていて、どっちがどっちの人物なのか混乱してくる。いや、混乱しても、物語の進行にそうさしさわりがあるように思えない。まあ、この二人は、女学校の同級生で、すみれと似たような境遇にあることは、時代的背景を考えれば、そうかなとは思う。だが、そこに、すみれをふくめて、相互にきわだつ四人の個性というものがあってもいいのではないか。

それに比べて、『ごちそうさん』はどうか。今週から舞台が大阪の西門の家にうつった。そこに登場するのは、和枝、希子、静……といった、一癖も二癖もあるような女性たち。この女性たちにかこまれて、ヒロイン(め以子)が、苦戦しながらも家庭を築いていく姿が描かれる。

『べっぴんさん』で、せっかく「四つ葉のクローバー」をメインテーマにしているのであるならば、個性的な四人をそろえるべきだったのだ。似たような境遇にある女学校の仲間三人という設定が、無理があったというべきかもしれない。

ところで、女学校の三人といえば、思い出すのが『おひさま』。ヒロイン(陽子)、育子、真知子、それぞれに個性があった。そして、その三人の友情。女性(女学校の同級生)が仲間で仕事を始めるからといって、それぞれの個性が描けないことはないのである。