定本漱石全集『吾輩は猫である』2016-12-14

2016-12-14 當山日出夫

夏目漱石.『定本漱石全集:吾輩は猫である』.岩波書店.2016
http://www.iwanami.co.jp/book/b266526.html

この本、発売は12月10日以降であったと思うが、奥付を見ると、12月9日と記してある。9日は、漱石の命日である。

いろいろ考えたすえであるが、この新しい全集を買うことにした。

私はすでに、漱石全集は二セット持っている。
1974年版の17巻(別巻1)
1993年版の28巻(別巻1)
である。

特に、後者(1993年版)と、今回の版と大きく内容が変わるわけではないようだ。確かに、一部では、新出資料があったり、部分的に作品の本文校訂が変わるとことはあるらしい。しかし、これまで漱石は、古い校訂で、あるいは、一般には文庫本などで読まれてきたのであり、普通に読むのには、それで十分だともいえる。

では、なぜ、今回の全集を買ってみようという気になったのか。それは、自分へのモチベーションのためである。

私は、漱石の作品は、数年おきぐらいには、主な小説類(『猫』から『明暗』までぐらい)を、読み直すことにしている。いままで、何回、読んだことだろうか。

しかし、その書簡とか漢詩、俳句などは、あまり読まずにきているということもある。これらも、一度は、読んでみたいものである。古い全集を取り出してきて読んでもいいのだが、せっかくなら新しい全集の新しい活字で読んでみたい、このような気もする。

これから、月に一冊の漱石全集の配本を追っていくぐらいの時間の余裕はとれそうである。これを機会に、漱石全集を、読んでみたいという気持ちになっている。

とはいえ、私は、漱石を研究しようという気はまったくもっていない。近代文学研究のような分野からは、まったくの門外漢であると同時に、いまさら、何を言おうという気もない。ただ、ひとりの読者として、若いころ(高校生のころ)から漱石を読んできて、また、読みたくなっているというだけのことである。

しかし、今は12月。毎年恒例の、年末の、今年のミステリーが発表される時期である。読んでおきたい本が、たくさんある。まあ、なんとか頑張って読むことにしよう。