『おんな城主直虎』あれこれ「おんな城主直虎」2017-03-28

2017-03-28 當山日出夫

『おんな城主直虎』2017年3月26日、第12回「おんな城主直虎」
http://www.nhk.or.jp/naotora/story/story12/

前回は、
やまもも書斎記 2017年3月21日
『おんな城主直虎』あれこれ「さらば愛しき人よ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/03/21/8412696

亀が死んでしまった。そして、ついに、「おんな城主直虎」の誕生のシーンを迎えることになった。で、最後になって、続くときた。

そして、ネコであるが、今回も登場してきていた。ちょっとではあるが、画面のすみっこに小さく映っていた。

今回の見どころは、「おんな城主直虎」になる決意をかためるまでの、特に、寺でのシーンだろう。様々な煩悶、葛藤のなかで、遂に、次郎法師が、直虎になる決心をすることになる。そして、それを影でささえることになる和尚。

とはいえ、ここできっぱりと還俗するというあたりの描写が希薄であったように感じられる。出家するときには、その心構えにするどく迫った和尚であったが、還俗するときはすんなり許してしまっている。まあ、これは、和尚といえども、完全に俗世を離れた立場ではなく、井伊の一族ということになるので、これは、いたしかたないといえば、そうなるだろうか。

私が気になることとして見ていたのは、やはり、戦国の「国衆」として城主になることを決意する、次郎(直虎、おとわ)のエトスの描き方である。ともかく、井伊の一族、イエをまもることに、それこそが、何よりも大事であるということは、なんとなく分かるのだが……まあ、こんなものかなあ、と思って見ていた。

このドラマ、井伊の一族がメインに登場するのだが、それに並ぶ、他の国衆が登場しない。出てくるのは、今川(太守様)と、まだ、弱小な徳川家康ぐらい。これらの戦国大名に囲まれて、井伊のイエがどう生き延びていくのか、これが、これから先のドラマの核になることなのだろう。それは、前作『真田丸』のように、同盟と裏切りの渦巻くなかで知謀にたけたものが生き残るというよりも、なんとなく、その場の流れのなかでどうにかこうにかして、かろうじて生き残る舵取りをしていく、そんな感じになるのだろうか。

たぶん、これからのこのドラマの基軸にあるのは、戦国領土ナショナリズムというよりも、パトリオティズム(愛郷心)としての井伊谷での一族の暮らしをどう安寧にたもっていくか、そのために、今川、徳川、それから、織田(まだ登場していないが)と、どうわたりあっていくか、このあたりの、その場その場の状況の読みと判断にかかってくる、このように思っておけばいいだろうか。

さて、直虎が誕生してしまったが、トラが出てきて、ネコはどうなるのだろうか。

追記 2017-04-04
このつづきは、
やまもも書斎記 2017年4月4日
『おんな城主直虎』あれこれ「城主はつらいよ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/04/04/8443437