『ひよっこ』あれこれ「乙女たち、ご安全に!」2017-05-07

2017-05-07 當山日出夫(とうやまひでお)

ひよっこ
http://www.nhk.or.jp/hiyokko/index.html

ひよっこ 第5週 乙女たち、ご安全に!
http://www.nhk.or.jp/hiyokko/story/05/

今週は、みね子たちが東京に出てきて就職して、仕事をはじめる。この週で興味深かったのは、みね子たちの同じ部屋の女性たち、それから愛子さんの存在。

みね子は、どうしても仕事がうまくいかない。ミスをしてばかりである。そんなみね子をめぐって、夜の寮の部屋で、女性たちの口論がはじまる。はじめは、ささいなきっかけからはじまった口げんかだったが、次第に、本気になる。みね子は、途中まで寝たふりをしていたが、起きてしまい、それに加わる……この一連のけんか騒ぎ。それから、最初の休日で、今日はどこにでかけようか、何をしようかとそれぞれに計画のある女性たち。

これらの一連の寮の部屋でのシーンは、なにかしら群像劇を見るような気がする。故郷から集団就職で東京に働きに出てきた女性たちは、みんな事情がある。澄子は、農業をやっていて日曜日などなかった生活。日曜日に寝るだけが楽しみであるという。しかも、母が死んで、父が再婚したのでもう自分の居場所がない。豊子は、女には学問はいらないと、中学での勉強もおおっぴらにできなくて、通信制とはいえ、堂々と勉強ができることを幸せに感じる。また、女優になりたくて、映画会社などを回るという時子。そして、父がいなくなったので、その手がかりをもとめに赤坂に行くというみね子。

集団就職で、同じ工場に働き、同じ部屋に寝起きすることになった女性たちであるが、それぞれに、かかえている故郷の事情はちがっている。そして、その背景の違いが、工場での言動に反映する。それが、原因で、夜の寮での口論になったりもしたのだが。

工場の寮の一部屋を舞台にして、昭和40年頃の、日本の地方と都市の縮図を、群像劇で描いてみせたような感じの週であった。

また、舎監の愛子さんの存在も大きい。頑張れ。大丈夫、そのうちできるようになるから。愛子さんは、女性たちに呼びかける。その愛子さんも、同じ工場で働いてきた過去がある。そして、戦争で亡くなってしまった婚約者。どこか暗い過去があるからこそ、これからの未来のある女性たちを、励ます存在でありうるのだろう。

このドラマの良さは、同じ工場の寮で一緒になった女性たちの、それぞれに故郷に対して背負っているもの、その生活の背景にあるものを、愛情をこめて、しかも、個性的に描き出しているところにあるのだろう。

なお、この週にでてきた、寮の部屋での一件は、やはり一種の「通過儀礼」のようなものなのだろう。みね子は、澄子と汽車で一緒になる。また、豊子と上野駅で一緒になる。「駅」というのは「境界」の空間である。その「境界」をともにくぐりぬけて、同じ工場の寮に入り同じ部屋になる。そして、食事も一緒にする。そして、おこる喧嘩騒ぎ……この一連の出来事が「通過儀礼」として、みね子は仕事を失敗しなくなる。また、みね子とそれをとりまく女性たちが同じ仲間として意識されるようになる。

この週ででてきた歌……『ぼくらはみんな生きている』『恋のバカンス』これらは、私は憶えている。映画『マイ・フェア・レディ』は、見てはいるが、後年になってリバイバル上映されたときのことである。見たのは高校生になってからだったろうか。

次週は、いよいよ赤坂のすずふり亭がでてくるようだ。楽しみに見ることにしよう。