『おんな城主直虎』あれこれ「罪と罰」2017-05-16

2017-05-16 當山日出夫(とうやまひでお)

『おんな城主直虎』2017年5月14日、第19回「罪と罰」
http://www.nhk.or.jp/naotora/story/story19/

前回のは、
やまもも書斎記 2017年5月9日
『おんな城主直虎』あれこれ「あるいは裏切りという名の鶴」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/05/09/8550386

今回もまたネコがでてきていた。和尚様に抱かれておとなしくしていた。いいネコである。

今回については、主に次の二点か。

第一は、井伊というものの生き方である。これまで、今川の支配下にあるということでなんとかその存在を認められてきた。それが、今川が武田と縁を切ることになるらしい。すると、他の北条や上杉との関係がどうなるのか、また、松平との関係も気になる、といったところ。

大河ドラマの前作『真田丸』では、このあたりは、戦国乱世の世の中で、知謀と武略で生き延びる、「真田」の一族、というものが描かれていたように思う。そこには、当初は、信州、真田の郷へのパトリオティズムのようなものがあった。しかし、最終的には、真田という一族がどのように生き延びるかというところで、知謀の限りをつくすということであったように見た。

それに対して、今回の『おんな城主直虎』では、あくまでも、井伊谷を領地として支配する井伊の一族が、どのようにして生きていくか。そこには、武力という選択肢は、始めからないようだ。今川の支配下にあって、どのように生き延びていくか、このあたりが今のポイント。そこでのキーパーソンが、政次の存在ということなるのであろう。

政次の存在は、井伊の一族にとって決して望ましいものではない。しかし、政次に頼らねば、井伊は生きていくことができない。このあたりのもどかしさが、直虎と政次との関係において、描き出されていた。

第二は、中世、戦国時代の領主は、武力だけで領民を治めるものではない。領地の経営にも苦心しなければならない。その一つが、綿の栽培である。はたして、中世において綿の栽培と、その加工、さらには商品としての流通はどのようなものであったか、ちょっと気になるところである。

領地の経営ということでは、山林もある。山の木が何者かに切られた。その犯人をめぐって、今川方との対立になりかける。

このあたり、中世の法制史の方からの議論は、どうなんだろうかと思って見ていた。犯人を捕まえたとして、その処罰は、誰がどのような法のもとで裁くことになるのか。領主の遵法意識というのは、どのようなものであったのか。

以上の二点ぐらいが、今回で気になったところである。

また、旅の男(柳楽優弥)の正体は明らかになっていない。たぶん、この人物の存在が、井伊の運命を左右することになるのかもしれないと思って見ていた。

戦国時代のドラマではあっても、この作品には、戦闘・合戦の場面が出てこない。そのような戦国ドラマもあっていいと思う。そうではなく、乱世の時代にあって、どうやって領地領民を守っていくのかに苦心する領主の生き方を描こうとしているのだろう。これが、どう面白い展開になるのかは、たぶん、この謎の旅の男にかかっていると感じている。

さて、次回もまだネコが出てくるだろうか。