『おんな城主直虎』あれこれ「ぬしの名は」2017-05-30

2017-05-30 當山日出夫(とうやまひでお)

『おんな城主直虎』2017年5月28日、第21回「ぬしの名は」
http://www.nhk.or.jp/naotora/story/story21/

前回は、
やまもも書斎記 2017年5月23日
『おんな城主直虎』あれこれ「第三の女」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/05/23/8572455

今回もネコがでていた。和尚にだかれていた。やはり、あの和尚にはネコがよく似合う。そして、今回のタイトルは「君の名は」あるいは「君の名は。」に由来するのかと思うが。

謎の男(柳楽優弥)の正体が、この回であきらかになった。盗賊団の首領、龍雲丸である。その龍雲丸と、直虎は、ビジネスで手を組むことになる、という展開。

今回の見せ場は次の二点だろうか。

第一に、気賀の街の描写。戦国時代の地方都市の描写であるが、駿府(今川の居城)が、どことなく京都風の雅な印象をあたえるように作られていたのに比べて、どちらかといえば、もっと猥雑とでもいうべき描写になっていた。たぶん、街の様子とか市の有様などは、それなりに時代考証してのうえのことだろうとは思ってはいるが。

第二に、龍雲丸と直虎とのやりとり。龍雲丸は、領主は泥棒だという。百姓が生産したものをかすめ取って生きている。このあたりのやりとりが面白かった。現代風にアレンジしていえば、社会的階級の存在と、そこにおける搾取の問題ということになるのだろう。これが近代なら、自らの階級的存在に目覚めた主人公が、革命を目指す、ということになるのかもしれないが、さすがに、戦国時代ドラマとしては、そうはならない。武士(領主)も、百姓も、また、盗賊も、それぞれに人である。人としてどのように生きるかを問いかけることになる。そのうえで、直虎は、龍雲丸に、木材のビジネスを提案することになる。

このあたり、合戦、戦闘の出ることのない戦国時代ドラマとして、非常に面白い展開だと思って見ている。戦国時代ドラマだからといって、合戦シーンだけが見せ場になるのではない。前作『真田丸』は、どちらかといえば、ここに重きをおいていた。それに対して、『おんな城主直虎』は、基本的に合戦を描かない。ところどころに、武芸は出てくるが。

思い起こしてみれば、桶狭間の合戦で、父が死ぬシーンでも、戦闘らしいものは、特に描いていなかった。このドラマ、合戦を描かない戦国時代ドラマという方針でいくようである。

ところで、ちょっとだけ出てきた、僧の傑山、あまりにもかっこよすぎる。そして、この傑山が活躍する回は、どうやら面白い展開になるようでもある。これは、前作『真田丸』における、佐助のような存在かなと思って見ている。

しかし、このドラマ、「階級」とか「搾取」とか「個人」とかということばをつかわずに、そのギリギリのところで、描いているなという印象を持つ。戦国時代ドラマであるから、このような概念はまだ無いとすべきなのであるが、ちょっと時代設定が変われば、近代的な市民社会のドラマになる。このあたりのさじ加減のうまさが、今回のこのドラマの良さなのだと思って見ることにしている。

さて、次回も、ネコと和尚は出てくるだろうか。

追記 2017-06-06
このつづきは、
やまもも書斎記 2017年6月6日
『おんな城主直虎』あれこれ「虎と龍」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/06/06/8586630