『獅子舞考』柳田国男2017-08-18

2017-08-18 當山日出夫(とうやまひでお)

続きである。
やまもも書斎記 『文豪妖怪名作選』
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/08/17/8648706

東雅夫(編).『文豪妖怪名作選』(創元推理文庫).東京創元社.2017
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488564049

この本のなかに、柳田国男の文章がいれてある。このことに異論はない。たしかに、柳田国男の文章は怖い。

以前にも書いたかと思うが、私が、『共同幻想論』(吉本隆明)をいまだにきちんと読めずにいるのは、引用してある、『遠野物語』の文章を読むのが、怖いからである。

『遠野物語』は、本はもっているのだが……「定本柳田国男集」を買ったのは学生のときだった……いまだに、全文を通読したということがない。理由は、読むのが怖いからである。

『文豪妖怪名作選』に、日本民俗学から、何か文章がはいることは、当然のことなのだろう。いや、近代になってから、特に、明治から大正、昭和にかけての時期、日本民俗学と、自然主義文学、それと、怪談、怪異譚は、密接に関連がある。

このことについては、

東雅夫.『遠野物語と怪談の時代』(角川選書).角川書店.2010
http://www.kadokawa.co.jp/product/201001000448/

がある。この本については、あらためて書いたみたいと思っている。

で、『獅子舞考』であるが……いかにも難解な文章である。特に、日本民俗学、柳田国男の文章の、わかりにくい文章の典型ともいえるかもしれない。とはいえ、そう難しいことばがつかってあるというのではない。ただ、民俗学的に報告された事実、文献資料を、順次列挙してあるだけなのだが、その流れに、著者の言いたいことを見いだすことが、難しい。

ここは、『遠野物語』から、一つでいい、怖い話しをもってきた方がよかったのかもしれない。