『おんな城主直虎』あれこれ「虎松の野望」2017-10-03

2017-10-03 當山日出夫(とうやまひでお)

『おんな城主直虎』2017年10月1日、第39回「虎松の野望」
http://www.nhk.or.jp/naotora/story/story39/

前回は、
やまもも書斎記 2017年9月26日
『おんな城主直虎』あれこれ「井伊を共に去りぬ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/09/26/8684051

今回から、虎松(直政)が、本格的に登場してきた。ここで、気になるのは、虎松のエトスである。いったい何のために、井伊を名乗ろうとしているのであろうか。そのあたりが、もうひとつ説得力がなかったように思える。

虎松は、松下のもとで育った。そのことによって、徳川の配下にあるという意識が強くなりこそすれ、薄れることはないであろう。ところが、井伊は、ドラマの時点では、まだ徳川の支配下にあるというわけではないようだ。ここで、井伊を名乗ることは、徳川への忠誠心と、どう関係するのであろうか。

もし、井伊が代々の徳川の配下にあったというのなら、井伊を名乗ることと、徳川への忠誠心は、結びつく。しかし、ドラマの筋書きでは、ちょっと無理があるような気がしてならない。

このドラマの終盤の見どころは、直政の徳川への忠誠心の形成と、それにかかわる形での直虎(おとわ)の役割だと思って見ている。

そして、今ひとつよく分からないのが、直虎(おとわ)の立場。井伊のイエはつぶれたということになっている。にもかかわらず、井伊直虎を名乗り、そして、その一族が井伊谷に住まいすることについて、采配をふるっている。当主といってもいいだろう。いったい、今の直虎(おとわ)の身分というか、立場は、どうなっているのだろうか。

井伊のイエがつぶれたというのは、支配する土地を失ったということだけのことなのだろうか。井伊谷の土地を安堵されなくなってしまったことなのか。しかし、それでも、直虎(おとわ)を中心にして、そのイエの、あるいは、一族、家族の結びつきは、依然として強固なものがあるように見える。

また、確かに井伊谷の土地はいいところなのかもしれないが、それに、虎松が、愛郷心(パトリオティズム)を抱いているとは思えない。井伊谷についてのパトリオティズムと、井伊のイエの意識とは、必ずしも、虎松のなかで、すなおに結びつくものでもないようだ。

これが、直虎(おとわ)なら、故郷としての井伊谷へのパトリオティズムと、井伊のイエの当主としての意識が結びつくのは自然である。だが、その直虎は、井伊のイエを再興する気はないと言っている。

さて、私がここで、虎松の忠誠心を問題にしてみたいと思っているのは、大河ドラマの次回作『西郷どん』のことが気になるからでもある。たぶん、来年のドラマの軸になるのは、西郷の、主君(斉彬)への忠誠心、故郷(鹿児島)へのパトリオティズム、そして、近代国家日本のナショナリズム、だと思う。

それはそうとして、ネコが登場していた。今度のネコは、鳥(文鳥だったか)が好きらしい。次回もネコがでてくるだろうか。

追記 2017-10-10
この続きは、
やまもも書斎記 2017年10月10日
『おんな城主直虎』あれこれ「天正の草履番」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/10/10/8700059

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