『わろてんか』あれこれ「父の笑い」2017-10-15

2017-10-15 當山日出夫(とうやまひでお)

わろてんか
https://www.nhk.or.jp/warotenka/index.html

第2週「父の笑い」
https://www.nhk.or.jp/warotenka/story/02.html

前回は、
やまもも書斎記 2017年10月8日
『わろてんか』あれこれ「わろたらアカン」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/10/08/8697997

この週の見どころと思ったのは、次の三点。

第一は、伊能栞の登場の場面。あまりにも都合よく、またあまりにもかっこよかった。だが、これはこれでいいのである。ナレーション(小野文恵アナウンサー)も語っていた……ロマンスとはこのようなものである、と。

そう、このドラマは、ロマンスなのである。自然主義、リアリズムを求めて見てはいけないのである。ロマンスだと思ってみていけばいい。そう思って見ていかなければ、たぶん、藤吉との今後の波瀾万丈の人生も、ただ悲惨なだけにおわるものかもしれない。

そして、土曜日の最後、藤吉との再会のシーン。偶然なのだろうが、できすぎている。しかし、これをすんなり受け入れるようでないと、このドラマの世界にはいっていけない。

第二は、伊能栞の台詞。今で言う、芸能ビジネスに興味があると。そのためには、大衆演芸も知らなければならないので、大阪の寄席あたりにいた。

これはたぶん、今後の展開の伏線になっているのだと思わせる。てんの相方になる藤吉は、すぐにばれる嘘を手紙に書いている……大阪の寄席でトリをつとめていると……こんな人物に、商才などあまり期待できない。これから、てんと藤吉の人生にからんでくるのは、伊能栞の芸能ビジネスへの投資ということだろうと思う。(ビジネスだから、援助するだけではなく、冷酷になる場面もあるのだろうと今から思ってみる。)

京都でてんと会った伊能栞がいっていた、「ビジネスパートナー」であると。このことばの意味がこれから、重要になってくるにちがいない。

第三は、父(儀兵衛)の首つり自殺未遂(?)のシーン。これは、本当に、儀兵衛の言うとおり、荷物を片づけようとしていただけなのだろうか。ひょっとすると本当に死のうとしていたのかもしれない。それを、まわりのみんなが笑うので、本人も、その笑いにごまかしていた可能性もある。本当のところは、どうだかわからない。

だが、このような場面でも笑いは出てくる。人生の哀切極まりない場面で、人は笑う。このような人生の悲哀にともなう笑いを、このドラマは、これから描いていくことになるのであろうかと思っている。

以上の三点が、この週で思ったことである。

さらに付け加えるならば、ふすま越しに隣の部屋を立ち聞き、のぞき見するシーン。これは、朝ドラのお約束とでもいうべきもの。今回は、それを察知した伊能栞が、見事に倒れてくるふすまをよけていた。

また、女中のトキと手代の風太の、掛け合いもコミカルで面白い。(だが、てんが、藤岡の家を出てしまうことになると、これからどうなるのだろうかと心配になるのだが、どうであろうか。)

追記 2017-10-23
この続きは、
やまもも書斎記 2017年10月21日
『わろてんか』あれこれ「一生笑わしたる」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/10/21/8709676