『北原白秋詩集』(岩波文庫)2017-12-16

2017-12-16 當山日出夫(とうやまひでお)

安藤元雄(編).『北原白秋詩集』(上・下)(岩波文庫).岩波書店.2007
https://www.iwanami.co.jp/book/b249186.html
https://www.iwanami.co.jp/book/b249187.html

川本三郎の『白秋望景』を読んだのは去年のことになる。

やまもも書斎記 2016年11月27日
川本三郎『白秋望景』
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2016/11/27/8261192

ほぼ一年前のことである。その後、岩波文庫版の『白秋詩抄』など手にとったりしていた。

最近読んだ本として、『あの頃、あの詩を』がある。

やまもも書斎記 2017年11月23日
『あの頃、あの詩を』鹿島茂(編)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/11/23/8732826

中学・高校生のころ、また、大学生になってから読んだような詩集など読み返してみたくなった。『赤光』(斎藤茂吉)については、すでに触れた。

やまもも書斎記 2017年12月8日
『赤光』斎藤茂吉
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/12/08/8744535

やはり私にとって、近代の詩人というと、北原白秋、それから、萩原朔太郎あたりになるだろうか。岩波文庫版で北原白秋詩集が出ているので、読んでみた。

これは、最初から順番に律儀に読んでいった。普通、詩集を読むとき、これまで順番に読むということをしてこなかった。ページをくりながら目にとまった詩を読むという感じで読んできた。だが、ここにきて、「詩集」という編纂されたものを読みたいという気になってきている。

岩波文庫版の『北原白秋詩集』(上下)は、初出によっている。基本的に抄出であるが、『思ひ出』は全部がおさめられている。

読んで感じたがことは……先に川本三郎の本を読んでいたせいもあるのだろう、この詩は、いつごろ、どこに住んでいたころの詩か、ということが頭の中でイメージとしてうかんでくる。無論、最初は柳河である。そして、東京、三浦半島、小田原、それから、小笠原など、白秋の人生が、詩集を順番に読んでいきながら、頭のなかにうかんでくる。

そして、人生の転機をむかえて変化していく、その詩風を味わうことになる。

通読してみて感じることは、やはり、最初の『邪宗門』がいい。この詩集の言葉の魔力には、今も心引かれるものがある。それから、これは川本三郎も指摘していたと思うが、近代の憂愁とでもいうべきものが、その作品のいくつかに感じ取ることができる。

今、私たちは、『邪宗門』に見られるような、幻惑的な言葉の魔力というものをもっているだろうか。言葉というものが、これほどまでになまめかしく、人を蠱惑するするものであることを、実感できる詩を他にもっているだろうか。これは、北原白秋という詩才において開花した、日本近代詩のなかの、一時の奇跡のようなものなのかもしれない。

私も年をとったと思うこのごろであるが、それでも、北原白秋の初期の作品を読んで、こころときめくものが残っていることを感じる。読書の楽しみとは、こういうところにあるのだろうと感じる次第でもある。