NHK『平成細雪』第三話2018-01-24

2018-01-24 當山日出夫(とうやまひでお)

前回は、
やまもも書斎記 2018年1月17日
NHK『平成細雪』第二話
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/01/17/8771057

平成細雪
http://www4.nhk.or.jp/P4696/

原作『細雪』(谷崎潤一郎)では、鶴子は東京に行くことになっているのだが、どうやらこのドラマでは、ずっと大阪にいるらしい。東京での生活と、大阪、あるいは、阪神間での住宅地での生活とが、対比的に描かれると、これはこれで面白い展開になったのだろうと思う。

今回、好かったのは、雪子(伊藤歩)。

時代が平成になってからのことなら、携帯電話もほとんどの人が持っているようになった時代だと思うが、このドラマには登場しない。お見合い相手からの電話にも、うまく応対できないでいる雪子の様子が、どことなく時代離れしていて、なんとなく滑稽でもあり、しかし、情感もあった。この電話のシーンなど、市川崑監督の映画よりも、原作『細雪』の雪子のイメージに近いと感じた。

今度のお見合いの相手は、決して悪くなかったと思わせるのだが、結局ことわることになった。雪子の性格のせいということになるのだろうか。決して、雪子に責任があるというわけではないのだろう。帝塚山の家にでかけて、娘と話しをするようなシーンは、たしか原作にはなかった設定だと思う。そこまでのことをしながら、なぜこのお見合いの話しが壊れてしまったのか、これは、運命としかいいようがないかもしれない。あの電話のことさえなければ、という展開であった。このあたりは、『細雪』(谷崎潤一郎)のとおりである。

ところで、板倉の事故のシーンで第三話が終わった。これは原作にはない。結局、原作どおり板倉と妙子は結ばれることになるのだろうが、それにいたる道筋は、これから決して平坦ではないようだ。次回、妙子と板倉がどうなるか、それから、最後(になるはずの)お見合いがどうなるのか、楽しみに見ることにしよう。

『細雪』を原作にするといっても、花見のシーンはないようだ。一月の放送だから、撮影は秋のことなのだろう。惜しい気がするが、そのかわり紅葉などの季節の描写がよかった。

追記 2018-01-31
この続きは、
やまもも書斎記 2018年1月31日
NHK『平成細雪』最終話
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/01/31/8779525