『秘密』ケイト・モートン2018-01-27

當山日出夫(とうやまひでお)

ケイト・モートン.青木純子(訳).『秘密』(上・下).東京創元社.2013
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488010089
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488010096

この本は出たときに買ってあって積んであった。『湖畔荘』がよかったので、取り出してきて読んでおくことにした。

調べてみると、この本、2015年の「このミス」の第二位(海外)である。ちなみにこの年の第一位は、『その女アレックス』。

ミステリとしての出来映え、読後感からすると、『湖畔荘』よりも、こちらの方が上かな、という気がする。

この作品も、時間軸と視点が錯綜している。1961年、事件が起こる。母が男を殺してしまう。その場面を、娘のローレルは目撃する。2011年、年老いた母(ドロシー)の死を目前にして、ローレルは母の過去を調べ出す。そして、ドロシーの視点で語られる1941年のロンドンの生活。そこに影をおとす謎の女性ヴィヴィアン。いくつかの時間、視点を行ったり来たりしながら、物語は進行する。そして、最後に明らかになる真実。

ミステリの常道をきちんとふまえている。作者はオーストラリアの人であるが、作品の雰囲気としては、英国風のミステリ・ロマンという感じである。このような作風については、読者の好みが分かれると思う。(私としては、このような作品は好きなのだが。)

『その女アレックス』がなければ、年間のミステリの一位になってもおかしくはないと思わせる。そして、『湖畔荘』でも感じたことであるが、このような物語的探偵小説とでもいうべきだろうか……が、日本においては、希少なことである。現代日本における「本格」は決して嫌いな方ではないのだが、時にはこのような重厚な作品を読みたくなる。そして、このような作品をなりたたせている、社会の文化的・歴史的背景の、日本との違いというようなことについて考えたりもする。

ようやく後期の大学の講義も終わった。後は、試験と採点である。時間的にも、気分的にも余裕がもてるようになっている。ここは、残りのケイト・モートンの作品を読み直してみようかと思っている。出た時に買ってしまってある。

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