『わろてんか』あれこれ「女興行師てん」2018-02-04

2018-02-04 當山日出夫(とうやまひでお)

『わろてんか』第18週「女興行師てん」
https://www.nhk.or.jp/warotenka/story/18.html

前回は、
やまもも書斎記 2018年1月28日
『わろてんか』あれこれ「ずっと、わろてんか」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/01/28/8777877

この週の見どころは、リリコと四郎の漫才だろう。この週で、表記が「漫才」になっていた。

気になったので、ジャパンナレッジを見てみた。

「漫才」の項目には、次のようにある。日本国語大辞典。

もとは「万歳」であったものが、「寄席演芸の一つ。二人の芸人がしぐさや言葉で観客を笑わせる演芸。エンタツ・アチャコの人気を受けて、昭和七年(一九三二)一月の吉本興業の宣伝雑誌「ヨシモト」に、宣伝部長橋本鉄彦が漫談にヒントを得て命名し載せたのが初めという。」と書いてある。

「漫才」の表記が使用されるようになったのは、昭和のはじめ、ヨシモトからのことらしい。このドラマは、吉本興業がモデルのはずだから、リリコと四郎の二人から、「漫才」がはじまったという設定は、史実をなぞっていることになる。

で、そのリリコと四郎であるが……どうも、舞台の芸が面白くない。リリコのしゃべりは巧い。歌も上手である。一方、四郎の方は、話しが下手である。だが、アコーディオンのうではある。この二人、漫才のコンビを組むまでのやりとりの方が見ていて面白いと感じさせた。だが、舞台での二人は、あまり面白くなかった(と、私は思えた。)

次週、この二人の漫才をめぐってドラマは展開するようだ。

それから、アメリカに行っていた子ども(隼也)が帰ってきた。アメリカには、祖母(啄子)がいる。いろいろアメリカの芸能事情を案内してもらってきたらしい。

ただ、時代的背景としては、満州事変があり、五・一五事件がおこって、日中戦争が本格化するまでの時期になる。アメリカでも、日系移民への対応が厳しくなっていたころだろう。

このドラマは、基本的に、時代的背景、世相というものを描かない方針のようだ。だが、「漫才」という新しい芸能の誕生した時代が、まさに、日本が泥沼の戦争に入り込んでいった時期であるということは、これはこれとして興味深いことでもある。一見すると暗い世相のように見えるが、庶民の生活はまだまだ明るさがあったのだろう。そのあたりの世相を描いてくれると、このドラマももっと面白くなると思うのだが。

追記 2018-02-11
この続きは、
やまもも書斎記 2018年2月11日
『わろてんか』あれこれ「最高のコンビ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/02/11/8785984