『西郷どん』あれこれ「斉彬の遺言」2018-05-01

2018-05-01 當山日出夫(とうやまひでお)

『西郷どん』2018年4月29日、第16回「斉彬の遺言」
https://www.nhk.or.jp/segodon/story/16/

前回は、
やまもも書斎記 2018年4月24日
『西郷どん』あれこれ「殿の死」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/04/24/8832129

今回描かれていたのは、月照との関係、それから、西郷の斉彬への忠誠心、ということになるだろう。

月照という人物、幕末史には登場するのだが、いったい何をした人物なのか今ひとつはっきり知らないでいる。勤王の僧ということで名前は知っているのだが。そして、西郷とともに入水自殺をこころみて、西郷は助かるが、月照は死んでしまう。

斉彬の死ということを契機にして、西郷の斉彬への忠誠心は最高潮に達しているかのごとくである。忠誠心、これは、前近代の封建的なエトスと言っていいだろう。それを基盤にして、これからの西郷の活躍……幕末の薩摩藩を率いて倒幕へとつきすすんでいく……になる。この前近代的な心情と、近代国家としての日本の建設者としての理念、これがどう西郷という人物のなかでひとつにまとまっていくことになるのか、このあたりが、今後の展開で気になるところである。

ドラマはまだ江戸時代、幕末である。近代というものが見えていない。これから、このドラマで、近代というものをどのようなものとして描くことになるのだろうか。かろうじて近代を予見していたのが、斉彬だったのかもしれないが、死んでしまっている。その斉彬の遺志としての近代、これを西郷がうけついでいくことになるのかと思う。封建的主従関係における忠誠心と、近代国家としての合理主義、これらが今後の西郷のなかでどう結びついていくことになるのだろうか。

ところで、今回も、品川の妓楼、磯田屋の場面があった。他の場面、特に江戸城でのシーンなどと比べると、どうもNHKは、この品川の磯田屋のセットの方に、コストを費やしているように思える。逆に見れば、江戸城のシーンが、いかにもショボいのであるが、これは、予算の関係でいたしかたないのかもしれない。

また、今回の『西郷どん』では、天皇は登場しないようだ。以前の『八重の桜』で、孝明天皇が重要な登場人物として出ていたのにくらべると、ここもちょっと残念な気がする。そして、これから、明治になるとして、明治天皇は登場することになるのだろうか。

次回は、西郷と月照の入水となるらしい。これも楽しみに見ることにしよう。

追記 2018-05-08
この続きは、
やまもも書斎記 2018年5月8日
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/05/08/8846726

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_ Coffee, Cigarettes & Music - 2018-06-24 19時03分08秒

皆さんこんばんは。今回は今年の大河ドラマ『西郷どん』第13~16回の感想です。まずはあらすじ。安政大地震により輿入れが延期となった篤姫(北川景子)であったが、西郷吉之助(鈴木亮平)の尽力により一年で嫁入り道具をそろえることができ、徳川家定(又吉直樹)の御台所