『パルムの僧院』スタンダール2018-05-10

2018-05-10 當山日出夫(とうやまひでお)

パルムの僧院(上)

スタンダール.大岡昇平(訳).『パルムの僧院』(上・下)(新潮文庫).新潮社.1951 (2005.改版)
http://www.shinchosha.co.jp/book/200801/
http://www.shinchosha.co.jp/book/200802/

世界文学の名作、名著の読み直し。この本は、若い時に手にしたかどうか、それすら覚えていない。今になって読んでみてであるが、はっきり言ってこの作品は、分からなかった。

スタンダールの作品では、新潮文庫に『赤と黒』がある。これは、去年、読んだ。

やまもも書斎記 2017年6月1日
『赤と黒』スタンダール
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/06/01/8581779

『赤と黒』は、まがりなりにも、主人公(ジュリヤン・ソレル)の感情に共感するところがないではなかった。しかし、『パルムの僧院』になると、主人公(ファブリス)が、なんとも理解できない。

これは、たぶん、私の予備知識が無いせいだろう。この作品の書かれた当時のフランス、それから、作品の舞台になったイタリアの地域・歴史について、それなりに知っていれば、この作品が何を語ろうとしているいるのか、分かるのだろう。だが、世界史といえば、高校でならった世界史の範囲をそう超えるものではない私としては、この作品世界の背景の理解は、手にあまる。

もし、フランス語が十分に分かるのなら、原文でじっくりと読めば、きっと面白い本であるにちがいない、とは感じるところがあった。19世紀フランスのリアリズムの小説ということなのであるが、そのリアリズムの感覚が、どうも現代の感覚と違っている。今ひとつ作品世界の中に、没入していくことができなかった。

そうはいっても、読みながらふと作品に引きずり込まれるようなときもあった。それは、登場人物の心中思惟の場面においてである。リアリズム小説というのは、私の理解するところでは、登場人物の心理描写に、その特徴を発揮する。このような作品の延長に、近現代の文学のいろんな作品があるのだろうということは理解できるつもりでいる。

といって、今から、西欧の歴史、文学史を勉強し直す気力もない。だが、機会があれば、再度、読み直してみたい作品ではある。文学作品のとしての魅力を、奥底に秘めている、そんな感じのする作品であった。

追記 2018-05-11
この続きは、
やまもも書斎記 2018年5月11日
『パルムの僧院』スタンダール(その二)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/05/11/8848862

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/05/10/8848192/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。