『半分、青い。』あれこれ「仕事が欲しい!」2018-07-01

2018-07-01 當山日出夫(とうやまひでお)

『半分、青い。』第13週「仕事が欲しい!」
https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/story/week_13.html

前回は、
やまもも書斎記 2018年6月24日
『半分、青い。』あれこれ「結婚したい!」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/06/24/8901850

この週のみどころは、律の結婚と、鈴愛の漫画家としてのスランプ、この二点である。そして、鈴愛は、人生の岐路に立つことになる。

第一に、律の結婚。

この週は、月曜日にいきなり律のプロポーズがあった。それを、鈴愛は断ったことになるのだが、時は流れ、律は結婚してしまった。そのいきさつは描かれていない。どういういきさつで、律は結婚することになったのか、ここは、見る者の想像力に委ねられているかのごとくである。

秋風のオフィス、それから、鈴愛のところに、律から結婚を知らせる葉書が来た。それを見て、鈴愛は、岐阜のつくし食堂に電話する。「律、結婚した」と言っていた。これが、疑問の文なのか、あるいは、断定の文なのか、ちょうどその中間ぐらいの微妙な言い方だった。その事実を認めて確認したいような、あるいは、事実として認めたくないような、鈴愛の感情がよく表現されていたと思う。

葉書の住所をたよりに、鈴愛は、律の新婚の家まででかけてしまう。そこで、妻のより子と会う。ただ、顔を見ただけで帰ってきた。和子さんの声がしていた。ここで、とにかく、律が結婚して新しい家庭をもったことを、自分の目で確認してきたことになる。

律の結婚は、鈴愛にとって、とてもとても悲しいできごとであった。

第二に、漫画家としての行き詰まり。

「一瞬に咲け」の次の作品が描けなくなってしまっている。ナレーションで、廉子が言っていた。才能とは、湧き出るときは泉のように湧き出るが、しぼむときは風船のようにしぼんでしまう、もとにはもどらない、と。これは、おそらく、脚本作家としての、北川悦吏子の実感でもあるのだろう。漫画と脚本と、ジャンルは違うとはいえ、創作にかかわるものの立ち向かうべき宿命のようなものである。自分の才能との対決である。努力してどうにかなるというものではない。

その鈴愛に、秋風は言う。ネームなしで、漫画を描いてみろ、と。昔、漫画にあこがれていた時のことを思い出して、初心にかえってやってみろ。たぶん、これは、漫画家である鈴愛にとって、最後のチャレンジになるのだろうと予感させる。

果たして、鈴愛は、漫画家として成功する道を歩むことができるのか、あるいは、漫画家に挫折して、別の人生をさぐるのか、次週以降の展開が気になるところである。ドラマは、ちょうど中盤である。漫画家人生の次が待っているのかもしれない。

以上の二点が、この週で見どころと感じたとことである。

結婚もできず、漫画家としても行き詰まった鈴愛の今後はどうなるのであろうか。はたして、漫画家としての将来はあるのか、また、律が結婚してしまって鈴愛はどうする。決断のときである。岐阜から東京に出てきて一〇年。年は三〇前である。結婚にも、仕事にも挫折するとしたら、その後、どんな人生があるというのか。

なお、さらに付け加えれば、律の飼っていた亀のフランソワが死んでしまった。結婚のことはともかく、フランソワの死のことは、律は鈴愛に報告すべきだったのではないだろうか。律と鈴愛がいて、それから、その側にいたのがフランソワであった。律と鈴愛にとって、フランソワは、人生の友であったのではなかったろうか。

追記 この続きは、
やまもも書斎記 2018年7月8日
『半分、青い。』あれこれ「羽ばたきたい!」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/07/08/8911562

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