「文字情報データベースの保存と継承」に参加してきた2018-07-23

2018-07-23 當山日出夫(とうやまひでお)

2018年7月21日は、京都大学人文科学研究所で、

シンポジウム「文字情報データベースの保存と継承」

があったの参加してきた。記録の意味で、プログラムを転記しておく。

漢字字体規範史データセット
http://hng-data.org/index.ja.html

保存会設立記念シンポジウム「文字情報データベースの保存と継承」
http://hng-data.org/events/2018-07-21.ja.html

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第1部 研究集会「文字情報データベースの保存と継承」

13:00-13:05
趣旨説明:守岡 知彦
13:05-13:35
報告1:高田 智和(国立国語研究所) 「『石塚漢字字体資料』と『漢字字体規範史データベース』」
13:35-14:05
報告2:守岡 知彦(京都大学) 「漢字字体規範史データセットの構築・共有計画について」
14:05-14:15
休憩
14:15-14:45
報告3:永崎 研宣(人文情報学研究所) 「文字情報データベースにおける IIIF 活用の可能性と課題」
14:45-15:15
報告4:安岡 孝一(京都大学) 「文字列検索可能な画像データベース」
15:15-15:25
休憩
15:25-16:25
基調講演:石塚 晴通(北海道大学名誉教授) 「漢字の書体と字体 —承前—」
16:25-16:35
休憩
16:35-17:15
総合討論

第2部

17:25-17:45
漢字字体規範史データセット保存会設立総会

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これに参加して思うことは多々あるのだが、基本的なことだけを確認しておきたい。

HNG(漢字字体規範史データベース)は、研究成果として出たものである。漢字の字体の標準・規範というものは、時代と地域によって異なる、このことを実証的に示すために、HNGが作られて公開になった。

その後、このHNGを使って、いろんな論文を書くようになった。私のやってみた「白氏文集」の旧鈔本の字体の研究など、そのうちにはいるものである。研究成果の結果として作ったデータベースが、次第に、研究者間でインフラとして利用されるようになってきた、という経緯がある。

だが、そのために必要な措置……主にサーバの管理にかんすることであるが……については、ほとんど手つかずのままに来てしまったことになる。そして、(どのような事情があったかかは知らないが)HNGの停止ということになった。

ここで考えておかなければならないことは、データベースを作って公開するということの継続性の問題である。研究者、特に人文学系の研究者においては、一〇年二〇年という時間など、わずかの時間にすぎない。しかし、その一〇年二〇年の間に、コンピュータ技術はどんどん進歩していくし、サーバも定期的にリプレイスしていかなければならない。

とにかく、一度作って公開したデータベースは、どのような使われ方をするか、予想の出来ないところがある。そのためには、何よりも継続ということを考えなければならない。そして、その継続ということのためには、いったい研究者として何をすべきか、その課題が、今回の件によって、ようやく、研究者自らの課題として見えてきたということになるだろうか。

結果としては、今回、新たに、「漢字字体規範史データセット保存会」というものをたちあげて、HNGの初期の64文献につい、そのデータセットを再現して保存することになった。このために、科研費を得ることができている。この期間の間に、元のデータ(紙カード、台帳など)を、デジタル化して、公開するということになる。

もし可能なら、検索システムの再構築ということになるかもしれないが、これは、できたら、ということになりそうである。

人文系のデータベースというのは、長い時間の中で考える必要がある。今のユーザの動向も大事であるが、それを残しておいて、次世代の研究者にも使えるようにしておく必要がある。このことの重要性について、再確認することになった会であった。




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