『若き詩人への手紙』リルケ2018-08-31

2018-08-31 當山日出夫(とうやまひでお)

若き詩人への手紙

リルケ.高安国世(訳).『若き詩人への手紙・若き女性への手紙』(新潮文庫).新潮社.1953(2007.改版)
http://www.shinchosha.co.jp/book/217501/

原民喜を読んだせいかもしれないが……ふとリルケの文章を読んで(読み返して)みたくなった。探すと、今でも売っている。新潮文庫が、改版して新しいのを出している。

『若き詩人への手紙』は、若い時……高校生ぐらいのとき……なんども読み返した本である。いたるところ傍線だらけになったかと覚えている。(その本も、探せば、まだどこかに眠っているのかもしれないが、探す気力も無いので、新しい本を買って読むことにした。)

「芸術作品は無限に孤独なものであって、批評によってほど、これに達することの不可能なことはありません。ただ愛だけがこれを捉え引き止めるころができ、これに対して公平であり得るのです。――そのような議論や、批判や、解説に対しては、あなたはいつも〈自分自身〉と、あなたの感情とを正しいとお考えください。」(PP.24-25) 〈 〉傍点

今の時代、リルケなどは流行らないのかもしれない。しかし、新潮文庫で、今でも、改版して新しい本で売っているということは、それなりに読者がいるのであろう。これは、やはり喜ばしいことだと思う。

数十年ぶりに読み返してみて、若い時に、この本を読みふけった頃のことを思い出す。顧みれば、自分も、年をとってしまったものだとつくづく感じる。もう、若い時のような感性で、リルケの文章を読むことはできないでいる。

しかし、読み返してみて、若い時の自分を思い出す……これもまた、読書の楽しみの一つということであろう。『マルテの手記』も新しい本で手にはいる。これも読み返してみたい本の一つである。