『西郷どん』あれこれ「父、西郷隆盛」2018-10-24

2018-10-24 當山日出夫(とうやまひでお)

『西郷どん』2018年10月21日、第39回「父、西郷隆盛」
https://www.nhk.or.jp/segodon/story/39/

前回は、
やまもも書斎記 2018年10月16日
『西郷どん』あれこれ「傷だらけの維新」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/10/16/8974594

明治になって、このドラマは、リセットしたかのごとくである。

語り手が、菊次郎になって、西田敏行がやっている。これはこれとして、明治維新から西南戦争の流れを、菊次郎の視点から見る……一つのアイデアだと思う。

新しいドラマになって、これから明治新政府、そして、西南戦争をどのように描くことになるのか、楽しみでもある。いまのところ、この新機軸は成功していると思う。

幕末から明治維新までのことを、あまりにも西郷吉之助の個人の感情によりそって描いてきたのは、失敗であったと感じる。大きな歴史観というものが、見えていなかった。それを、こんどは、菊次郎という視点をもちこむことで、西郷隆盛という人物の、家庭における個人的な側面と、政治家として歴史の中で生きていくことになる側面、この両方を視野におさめることができるのかもしれない。

明治になって、侍の時代が終わることになる。そのなかにあって、最後の侍であろうとしたのが、西郷であったのだろう。このあたりの事情をこれから、新しくなったドラマで、どのように描いていくことになるのか、ここは期待して見てもいいのではなかろうか。

現代のわれわれから見ても、西郷隆盛という人物は、複雑である。近代国家を建設した立役者である一方で、西南戦争で政府に反した人物でもある。そうでありながら、一つの人格としての西郷のイメージがある。この錯綜する西郷隆盛という人物像を、明治維新から西南戦争にかけて、どのように描いていくことになるのか、ここは期待して見ることにしたいと思う。