『そしてミランダを殺す』ピーター・スワンソン ― 2018-12-15
2018-12-15 當山日出夫(とうやまひでお)
ピーター・スワンソン.務台夏子(訳).『そしてミランダを殺す』(創元推理文庫).2018
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488173050
出た時に買ってあって、年末になって各種のミステリベストが出るころになって一気に読んだ。今年の年末の各種のミステリベストでは、二位ということのようだ。(一位は、『カササギ殺人事件』)。この結果には、私は、納得する。
登場人物は比較的限定されている。その限定された登場人物のうち、四人の一人称の語りで、この小説はなりたっている。四つの視点から、小説は進行し、そして、起こるいくつかの事件……殺人事件。
読んでいって、気になったのは、タイトルの通りにミランダは殺されることになるのか……であるが、この小説は、そのようなレベルをとおりこして、先のところまで展開している。そして、その展開が読めない。どこにこの小説……犯罪小説といっていいだろう……の、落としどころがあるのか、最後のページまでわからない。
この作品、殺人事件が起こる、それをめぐっての一種の犯罪小説と言っていいだろう。殺人者の行為が詳細に描写される。だが、陰惨な感じはまったくない。実に淡々とことがはこんでいる。この淡々としたことのはこび、それを、複数の視点を交互に繰り返しながら、一人称視点で描いていくところが、この小説の妙味である。
そして、犯罪小説であるのだが……犯罪者の心理、これが、実に微妙なリアリティをもってえがかれている。ミステリという犯罪小説をなりたたせる、絶妙の描写である。
『カササギ殺人事件』がなければ、ベストの一位になってもおかしくはない作品である。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488173050
出た時に買ってあって、年末になって各種のミステリベストが出るころになって一気に読んだ。今年の年末の各種のミステリベストでは、二位ということのようだ。(一位は、『カササギ殺人事件』)。この結果には、私は、納得する。
登場人物は比較的限定されている。その限定された登場人物のうち、四人の一人称の語りで、この小説はなりたっている。四つの視点から、小説は進行し、そして、起こるいくつかの事件……殺人事件。
読んでいって、気になったのは、タイトルの通りにミランダは殺されることになるのか……であるが、この小説は、そのようなレベルをとおりこして、先のところまで展開している。そして、その展開が読めない。どこにこの小説……犯罪小説といっていいだろう……の、落としどころがあるのか、最後のページまでわからない。
この作品、殺人事件が起こる、それをめぐっての一種の犯罪小説と言っていいだろう。殺人者の行為が詳細に描写される。だが、陰惨な感じはまったくない。実に淡々とことがはこんでいる。この淡々としたことのはこび、それを、複数の視点を交互に繰り返しながら、一人称視点で描いていくところが、この小説の妙味である。
そして、犯罪小説であるのだが……犯罪者の心理、これが、実に微妙なリアリティをもってえがかれている。ミステリという犯罪小説をなりたたせる、絶妙の描写である。
『カササギ殺人事件』がなければ、ベストの一位になってもおかしくはない作品である。
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_ じゅうのblog - 2020-08-21 20時35分59秒
アメリカの作家「ピーター・スワンソン」の長篇ミステリ作品『そしてミランダを殺す(原題:The Kind Worth Killing)』を読みました。
[そしてミランダを殺す(原題:The Kind Worth Killing)]
アメリカのミステリ作家の作品が続いています。
-----story-------------
実業家の「テッド」は空港のバーで見知らぬ美女「リリー」に出会う。
彼は酔った勢いで、妻「ミランダ」の浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。
「リリー」は「ミランダ」は殺されて当然だと断言し協力を申し出る。
だが殺人計画が具体化され決行日が近づいたとき、予想外の事件が……。
男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の攻防を描く傑作ミステリ!
解説=「三橋曉」
-----------------------
2015年(平成27年)に刊行された「ピーター・スワンソン」の長篇第2作にあたる作品… 「パトリシア・ハイスミス」っぽさを感じる展開で面白かったです。
[そしてミランダを殺す(原題:The Kind Worth Killing)]
■第一部 空港のバーのルール
■第二部 未完成の家
■第三部 死体をうまく隠す
■解説 三橋曉
ある日、ヒースロー空港のバーで、離陸までの時間をつぶしていた実業家の「テッド・セヴァーソン」は、見知らぬ美女「リリー・キントナー」に声をかけられる… 彼は酔った勢いで、1週間前に妻の「ミランダ」の浮気を知ったことを話し、冗談半分で「妻を殺したい」と漏らす、、、
話を聞いた「リリー」は、「ミランダ」は殺されて当然と断じ、殺人を正当化する独自の理論を展開して「テッド」の妻殺害への協力を申し出る… だが、ふたりの殺人計画が具体化され、決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。
『第一部 空港のバーのルール』では、「リリー」と「テッド」、
『第二部 未完成の家』では、「リリー」と「ミランダ」、
『第三部 死体をうまく隠す』では、「リリー」と刑事「ヘンリー・キンボール」、
と、それぞれ二人(合計四人)の視点で交互にモノローグで語られる殺人計画… どっちが殺して、どっちが殺されるのか!?
殺す者と殺される者、追う者と追われる者の攻防が、それぞれの視点での二転三転四転の展開が愉しめましたね、、、
ホントに視点の切り替えが見事で、視点人物が変わると同時にあらたな衝撃が生まれ、さらにある場面を別の人物の視点から描き直したシーンで、実はそういうことだったのかー と感じさせられることもありました… 映像化しても愉しめそうだなぁ。
「ピーター・スワンソン」の他の作品も読んでみたいですね、、、
タイトルの『The Kind Worth Killing』って、直訳すると『殺されて当然の者たち』って意味のようですね… 『そしてミランダを殺す』よりは、直訳の方がしっくりくる感じがしましたね。
以下、主な登場人物です。
「リリー・キントナー」
大学の文書保管員
「テッド・セヴァーソン」
実業家
「ミランダ・セヴァーソン」
テッドの妻
「ブラッド・ダゲット」
工事業者
「シドニー(シド)」
のバーテンダー
「ポリー・グリーニア」
ブラッドの恋人
「デイヴィッド・キントナー」
リリーの父。小説家
「シャロン・ヘンダーソン」
リリーの母。抽象芸術科
「チェット」
画家
「エリック・ウォッシュバーン」
リリーの大学時代の恋人
「フェイス」
エリックと同学年の女子学生
「ヘンリー・キンボール」
ボストン市警の刑事
「ロバータ・ジェイムズ」
ボストン市警の刑事。キンボールの相棒
[そしてミランダを殺す(原題:The Kind Worth Killing)]
アメリカのミステリ作家の作品が続いています。
-----story-------------
実業家の「テッド」は空港のバーで見知らぬ美女「リリー」に出会う。
彼は酔った勢いで、妻「ミランダ」の浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。
「リリー」は「ミランダ」は殺されて当然だと断言し協力を申し出る。
だが殺人計画が具体化され決行日が近づいたとき、予想外の事件が……。
男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の攻防を描く傑作ミステリ!
解説=「三橋曉」
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2015年(平成27年)に刊行された「ピーター・スワンソン」の長篇第2作にあたる作品… 「パトリシア・ハイスミス」っぽさを感じる展開で面白かったです。
[そしてミランダを殺す(原題:The Kind Worth Killing)]
■第一部 空港のバーのルール
■第二部 未完成の家
■第三部 死体をうまく隠す
■解説 三橋曉
ある日、ヒースロー空港のバーで、離陸までの時間をつぶしていた実業家の「テッド・セヴァーソン」は、見知らぬ美女「リリー・キントナー」に声をかけられる… 彼は酔った勢いで、1週間前に妻の「ミランダ」の浮気を知ったことを話し、冗談半分で「妻を殺したい」と漏らす、、、
話を聞いた「リリー」は、「ミランダ」は殺されて当然と断じ、殺人を正当化する独自の理論を展開して「テッド」の妻殺害への協力を申し出る… だが、ふたりの殺人計画が具体化され、決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。
『第一部 空港のバーのルール』では、「リリー」と「テッド」、
『第二部 未完成の家』では、「リリー」と「ミランダ」、
『第三部 死体をうまく隠す』では、「リリー」と刑事「ヘンリー・キンボール」、
と、それぞれ二人(合計四人)の視点で交互にモノローグで語られる殺人計画… どっちが殺して、どっちが殺されるのか!?
殺す者と殺される者、追う者と追われる者の攻防が、それぞれの視点での二転三転四転の展開が愉しめましたね、、、
ホントに視点の切り替えが見事で、視点人物が変わると同時にあらたな衝撃が生まれ、さらにある場面を別の人物の視点から描き直したシーンで、実はそういうことだったのかー と感じさせられることもありました… 映像化しても愉しめそうだなぁ。
「ピーター・スワンソン」の他の作品も読んでみたいですね、、、
タイトルの『The Kind Worth Killing』って、直訳すると『殺されて当然の者たち』って意味のようですね… 『そしてミランダを殺す』よりは、直訳の方がしっくりくる感じがしましたね。
以下、主な登場人物です。
「リリー・キントナー」
大学の文書保管員
「テッド・セヴァーソン」
実業家
「ミランダ・セヴァーソン」
テッドの妻
「ブラッド・ダゲット」
工事業者
「シドニー(シド)」
のバーテンダー
「ポリー・グリーニア」
ブラッドの恋人
「デイヴィッド・キントナー」
リリーの父。小説家
「シャロン・ヘンダーソン」
リリーの母。抽象芸術科
「チェット」
画家
「エリック・ウォッシュバーン」
リリーの大学時代の恋人
「フェイス」
エリックと同学年の女子学生
「ヘンリー・キンボール」
ボストン市警の刑事
「ロバータ・ジェイムズ」
ボストン市警の刑事。キンボールの相棒
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