『平家物語』(三)岩波文庫2019-03-08

2019-03-08 當山日出夫(とうやまひでお)

平家物語(三)

梶原正昭・山下宏明(校注).『平家物語』(三)(岩波文庫).岩波書店.1999
https://www.iwanami.co.jp/book/b245705.html

続きである。
やまもも書斎記 2019年3月7日
『平家物語』(二)岩波文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/03/07/9044222

岩波文庫版で第三巻まで読んできて、平家の劣勢は決定的なものになる。そして、最終的に勝つことになる源氏、負けることになる平家、この両者の死闘がここでは描かれる。

読んで感じるところを書いておくならば、次の二点だろうか。

第一には、この第三巻(巻七~九)でも、「運命」の語がでてくる。

「源氏は、近年よりこのかた、度々のいくさに討勝ッて、運命ひらけんとす。なんぞ当山ひとり、宿運尽きぬる平家に同心して、運命ひらくる源氏をそむかんや。」(p.64)

源氏が勝ち、平家が負けることになるのは、「運命」によっているのである。『平家物語』の「作者」にとって、「運命」とはいったいどんなものとしてとらえられていたのだろうか。

第二に感じるところは、多くの合戦・戦闘の場面があるのだが、素朴な疑問として、いったい何故、このような凄惨というべき戦闘の場面が、文章として残っているのであろうか、ということ。あながち『平家物語』のでっちあげということもでもないだろう。それを見聞していた誰かがいたにちがいない。そして、それを『平家物語』という文学に書いた「作者」がいたことになる。

激動の歴史のなかにあって、いったいどのような人間が、源平の争乱の有様を記録して、文章化して、残す……このようなことになったのだろうか。

非常に素朴な疑問であるが、これを強く感じる。

これは、『源氏物語』のような女房の世界、王朝貴族の世界とも違う。また、『今昔物語集』のような説話の世界ともちがっている。いったいどのような人間が、この『平家物語』のような、戦闘と諸行無常の、そして「運命」の文学を書いたのだろうか。

以上の二点が、岩波文庫版の第三巻を読んで思うことなどである。次は、第四巻になる。平家は滅ぶことになる。それはどのような「運命」なのか、読んでみることにしよう。

追記 2019-03-09
この続きは、
やまもも書斎記 2019年3月9日
『平家物語』(四)岩波文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/03/09/9044925