『1Q84』BOOK1(前編)村上春樹2019-03-28

2019-03-28 當山日出夫(とうやまひでお)

1Q84(1)

村上春樹.『1Q84』BOOK1(前編)(新潮文庫).新潮社.2012(新潮社.2009)
https://www.shinchosha.co.jp/book/100159/

ふと思って村上春樹を読むことにした。

村上春樹は、かなり以前にいくつかの作品に接したことはあるのだが、それほどの読者ではなかった。が、ここにきて、その作品を読んでおきたたくなった。いろいろ理由はある。

その一つは、新しい作品である『騎士団長殺し』が文庫版で刊行になった、ということがある。主な作品は、文庫本で読めるようになっている。ここをきっかけに村上春樹を読んでおきたいと思った。

また、第二の理由として、最近であるが、朝日新聞社の次のHPで、『1Q84』を目にしたこともある。

好書好日 朝日新聞「平成の30冊」を発表
https://book.asahi.com/article/12182809

この平成の第一位が、『1Q84』になっている。

実は、『1Q84』は、読んでいない本であった。しかし、やはりこれは読んでおきたいと思う。そして、『1Q84』をはじめとして、村上春樹の作品を読んでおきたいと思った。

ところで、なぜ、私は、若い時に、村上春樹を読んで、その作品から離れてしまったのだろうか。その理由、それは、同時に、今あらたに村上春樹を読んで感じるものに通じる。『1Q84』の文庫本の第一冊目を読んだ限りの印象を一言でいうならば、小説の背後に存在する「メタ」な視点にあるのだろうと思う。

たぶん、若い時の私は、この村上春樹の作品にある「メタ」な視点になじめないものを感じてしまったのだと、今にして思う。だが、これも、この時になって読んでみると、この「メタ」の視点こそが、村上春樹の文学の本質にかかわるものであることを感じ取る。(たぶん、この直感は間違ってはいないと思う。素直に物語世界の中に入っていけない、何かを感じてしまったのである。)

『1Q84』は、文庫本で六冊につくってある。まだ、その第一冊目を読んだばかりである。小説は、青豆と天吾の二人の主人公の、二つの物語が併行してかたられている。まだ、この二人の物語は交わるところがない。今後、どのような展開になるのか……その小説のストーリーの展開も気になるが、それよりも、この小説を構成する作者の「メタ」の視点を感じ取りながら、小説世界の中にはいっていく自分がある。

この「メタ」の視点がはっきりと描かれているのが、天吾の章。そして、天吾の章と、青豆の章の二つを俯瞰する、さらに上にある視点。この「メタ」の視点のもとに、これから、二つの物語がどのようにからまっていくのか、読んでいきたいと思う。

日本の古典文学の再読の間に、村上春樹をじっくりと読んでみたいと思っている。

追記 2019-03-29
この続きは、
やまもも書斎記 2019年3月29日
『1Q84』BOOK1(後編)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/03/29/9052759