『1Q84』BOOK2(後編)村上春樹2019-04-04

2019-04-04 當山日出夫(とうやまひでお)

1Q84

村上春樹.『1Q84』BOOK2(後編)(新潮文庫).新潮社.2012(新潮社.2009)
https://www.shinchosha.co.jp/book/100162/

続きである、
やまもも書斎記 2019年4月1日
『1Q84』BOOK2(前編)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/01/9054067

たしか、この小説が単行本で発売になった時、この「BOOK2」までが先に出たはずである。その後、しばらくしてから、「BOOK3」の刊行になった。この意味では、『1Q84』という小説は、この「BOOK2」で一区切りと言ってもいいのかもしれない。

まさにそのように読める。最初の青豆のシーン、首都高でのタクシーの描写が、ここで、ひとまわりまわって再登場する。そして、青豆と天吾の二つの物語が、この第三冊目になって、一つに融合する。「1984」の世界ではなく、「1Q84」の世界であること。「1Q84」の世界のなかで、『空気さなぎ』、リトル・ピープル、二つの月……これらが、ひとつの世界のなかに、しかし、これまでの世界とは反転した世界のなかで融合する。

ところで、この小説の中に「猫の町」という作品が登場する。これは、どうしても、『猫町』(萩原朔太郎)を思い浮かべてしまうのだが、このような読み方は間違っているだろうか。

しかし、この「BOOK2」の終わり方は、『猫町』がそうであるように、ある種の散文詩とでもいった方がいい。言い換えれば、リアリズムの描写ではない、ということである。そして、散文詩として読んで、その詩情はあくまでも奥深いものがある。

『1Q84』をここまで読んで来て感じることは、この作品は、散文詩であるということである。少なくとも、私がこの作品に感じるのは、リアリズムの現実的描写ではなく、散文詩の詩情である。

この読み方がどうなのか、次の第五冊目を楽しみに読むことにしよう。

追記 2019-04-05
この続きは、
やまもも書斎記 2019年4月5日
『1Q84』BOOK3(前編)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/05/9055671

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/04/9055285/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。