『なつぞら』あれこれ「なつよ、お兄ちゃんはどこに?」2019-05-05

2019-05-05 當山日出夫(とうやまひでお)

『なつぞら』第5週「なつよ、お兄ちゃんはどこに?」
https://www.nhk.or.jp/natsuzora/story/05/

前回は、
やまもも書斎記 2019年4月28日
『なつぞら』あれこれ「なつよ、女優になれ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/28/9065372

なつと母は、東京にやってきた。兄の咲太郎をさがすためである。

いわくありげな、なにかしら謎をひめているような、新宿の川村屋のマダム(前島光子)。これを、比嘉愛未がうまく雰囲気を出していたように思う。

お兄ちゃんの咲太郎は、浅草にいた。六区で芝居小屋ではたらいていたようだ。だが、芸人としては、今一つ運にめぐまれないというべきだろうか。

ところで、私が東京に出て学生生活をはじめたのは、昭和50年のころになる。ドラマで描いているのは、昭和30年のころである。約二〇年後のことになる。東京に出て、どこを見物するともなく浅草には足をはこんだ記憶がある。

ちょうどそのころ……昭和50年のころ……情報誌『ぴあ』が創刊になったころだった。たしか、渋谷の旭屋(今はもうなくなっているかと思うが)で、買ったりしたものである。それを見て、映画を多くみた。京橋のフィルムセンターにも行った。当時、フィルムセンターは、ガラガラであった。浅草の六区にも行った。もうさびれていた。小津安二郎の映画などが、まだ現役でかかっていたのを憶えている。(まだ、小津の映画が今日のように再評価される前の話である。)

さびれた六区であったが、往年の栄華をしのばせるところがどことなくあった。

その六区で、あるいは、新宿のムーランルージュで、咲太郎は、芸人として活躍することを夢みているようである。新宿の川村屋とも、いわく因縁があるらしい。

この週を見て、なつ(広瀬すず)が、いかにも北海道の田舎から東京の新宿にやってきた、田舎娘のお上りさんという雰囲気をよく出していたように感じた。だが、本格的に、なつが東京にやって来るのはもうちょっとさきのことになるのだろう。まだまだ北海道での生活を描くようだ。

昭和30年のころの新宿、それから、浅草……これらを、このドラマではかなりきれいに描いていたように思う。実際のところは、場末の繁華街であり、もっと猥雑なところであったのだろうと推測するのだが、どうだろうか。

ところで、北海道の十勝のじいさん(泰樹)は、牧場の後継ぎに、なつのことを考えているようだ。なつが、東京に出てアニメの世界で活躍するようになるには、まだまだ波乱がありそうである。次週も楽しみに見ることにしよう。

追記 2019-05-12
この続きは、
やまもも書斎記 2019年5月12日
『なつぞら』あれこれ「なつよ、雪原に愛を叫べ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/05/12/9071407