『羊をめぐる冒険』(下)村上春樹2019-05-10

2019-05-10 當山日出夫(とうやまひでお)

羊をめぐる冒険(下)

村上春樹.『羊をめぐる冒険』(下)(講談社文庫).講談社.2004 (講談社.1982)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000203633

続きである。
やまもも書斎記 2019年5月9日
『羊をめぐる冒険』(上)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/05/09/9070215

下巻まで読んで感じるところを記すならば、この作品は、擬死と再生、そして、異世界の物語として読むことができるだろうか。

主人公は、北海道に旅に出る。謎の羊をさがしにである。

北海道の地方にあるさびれた街。その郊外にある、不可思議な家。そこに現れる「羊男」。いったいこれは何なんだ……と思うが、特に怪奇な印象はない。ただ、村上春樹の摩訶不思議な世界の中にはいって物語を読み進んでいくことになる。

この作品のなかで、鏡がでてくる。この世界をうつす鏡である。その鏡にうつる世界は、ちょっと違っているようだ。村上春樹文学においては、鏡、それから、夢、というのが重要なキーワードになるにちがいない。異世界、異次元の空間である。

そして、ところどころで登場する、きわめて抒情的なシーン。

文庫本では、上下二巻につくってあるが、そう長い小説ではない。しかし、この中に、村上春樹文学のエッセンスがつまっているという印象がある。

残る長編は『ダンス・ダンス・ダンス』、そして、新しい『騎士団長殺し』になる。順番に読んでいくことにしよう。

追記 2019-05-11
この続きは、
やまもも書斎記 2019年5月11日
『ダンス・ダンス・ダンス』(上)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/05/11/9070999