『騎士団長殺し』(第1部 顕れるイデア編)(下)村上春樹 ― 2019-05-24
2019-05-24 當山日出夫(とうやまひでお)

村上春樹.『騎士団長殺し』(第1部 顕れるイデア編)(下)(新潮文庫).新潮社.2019 (2017.新潮社)
https://www.shinchosha.co.jp/book/100172/
続きである。
やまもも書斎記 『騎士団長殺し』(第1部 顕れるイデア編)(上)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/05/18/9073907
寓意にみちた作品を、解説してみるなど、もっとも愚かしいことなのかもしれない。が、この作品を読んで感じるのは、全編にみなぎる寓意である。
読みながら付箋をつけた箇所。騎士団長は、次のように語っている。
「雨田具彦の『騎士団長殺し』について、あたしが諸君に説いてあげられることはとても少ない。なぜならその本質は寓意にあり、比喩にあるからだ。寓意や比喩は言葉で説明されるべきものではない。呑み込まれるべきものだ。」(p.259)
ここまで村上春樹の作品を読んできて、ここまで明確に、寓意とか比喩とかに言及したことはなかったと思う。どのように寓意にみちた作品であっても、ただそれをそのまま描写し、記述するにとどめてきていた。それが、ここにいたって、寓意・比喩ということに触れている。いったい村上春樹のなかで、何がおこったのであろうか。
ともあれ、この作品は、寓意にみちたものとして、そのまま読んでいけばいいのだろう。
だが、強いてその寓意を解釈するとするならば、それは、「異界」への道に他ならないであろう。謎のほこら、これが「異界」でなくて何であるというのだろうか。また、『騎士団長殺し』という絵は、何を表象しているのか。そして、主人公は画家である。絵を描くということは、そこに一つの独立した別の世界を構築することである。
ここで、小説の前半が終わったことになる。『騎士団長殺し』という絵の謎。それから、描くことになるであろう少女の肖像画、謎に満ちた石のほこら、鈴の音、この小説のたどりつくところはいったいどこであるのか、続きを楽しみに読むことにしよう。
https://www.shinchosha.co.jp/book/100172/
続きである。
やまもも書斎記 『騎士団長殺し』(第1部 顕れるイデア編)(上)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/05/18/9073907
寓意にみちた作品を、解説してみるなど、もっとも愚かしいことなのかもしれない。が、この作品を読んで感じるのは、全編にみなぎる寓意である。
読みながら付箋をつけた箇所。騎士団長は、次のように語っている。
「雨田具彦の『騎士団長殺し』について、あたしが諸君に説いてあげられることはとても少ない。なぜならその本質は寓意にあり、比喩にあるからだ。寓意や比喩は言葉で説明されるべきものではない。呑み込まれるべきものだ。」(p.259)
ここまで村上春樹の作品を読んできて、ここまで明確に、寓意とか比喩とかに言及したことはなかったと思う。どのように寓意にみちた作品であっても、ただそれをそのまま描写し、記述するにとどめてきていた。それが、ここにいたって、寓意・比喩ということに触れている。いったい村上春樹のなかで、何がおこったのであろうか。
ともあれ、この作品は、寓意にみちたものとして、そのまま読んでいけばいいのだろう。
だが、強いてその寓意を解釈するとするならば、それは、「異界」への道に他ならないであろう。謎のほこら、これが「異界」でなくて何であるというのだろうか。また、『騎士団長殺し』という絵は、何を表象しているのか。そして、主人公は画家である。絵を描くということは、そこに一つの独立した別の世界を構築することである。
ここで、小説の前半が終わったことになる。『騎士団長殺し』という絵の謎。それから、描くことになるであろう少女の肖像画、謎に満ちた石のほこら、鈴の音、この小説のたどりつくところはいったいどこであるのか、続きを楽しみに読むことにしよう。
追記 2019-05-25
この続きは、
やまもも書斎記 2019年5月25日
『騎士団長殺し』(第2部 遷ろうメタファー編)(上)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/05/25/9076622
この続きは、
やまもも書斎記 2019年5月25日
『騎士団長殺し』(第2部 遷ろうメタファー編)(上)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/05/25/9076622
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